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ゲーム・オブ・スローンズ

先日、8シーズンにもわたる大作の海外ドラマ、「ゲーム・オブ・スローンズ(以下GOT)」がようやく最終回を迎えた。この作品はダークファンタジーと呼ばれていることもあり、最終回も正直、大団円というものでもない。したがって観る方も大変感慨深くはあるが、それ以上の複雑な感情が渦巻くものとなった。もちろん、終わり方にはまったく異論はない。楽しませてもらったし、特に最終シーズンは、広げた風呂敷のたたみ方や、これまでに総登場した多くのキャラクターの初顔合わせや再会などが見事。これもシーズンを重ねた醍醐味で、続けて鑑賞したファンへのご褒美でもある。

そんなGOTの魅力を語っていきたい。まだネタバレはあまりしないのでご安心を。魅力を3つ挙げるとすれば、「衝撃のストーリー展開」「キャラクターの魅力」「世界観」といったところか。まずストーリー展開だが、この作品、みなさんはどういうモチベーションで見始めただろうか。登場人物たち がバンバン裸になるとか、エロいシーンがあるとか、そんな動機かもしれない(それは私だが)。そういう人達はひょっとしたらがっかりするかも。最初は登場人物の多さに辟易するかもしれない。が、そんな感情もまず第1シーズン第1話のラストでまずふっとぶ。それから、また第1シーズンの中盤でまた衝撃があり、最後でまた別の衝撃が。という風に、筋を追っているだけでも飽きさせない。飽きてる暇がない。GOTでは各シーズンごとに、ラス前1話あたりですごいことが起きている。こっちもこっちで予想は立てるのでが、それをまったく裏切る展開。GOTは原作付きだが、これはドラマの構成の方がうまいせいと思う。

モチロン、話だけでは視聴者はついていかない。そこでキャラクターだ。観ていくうちに、必ず誰かに感情移入できるようなキャラクター。たとエバ、異国に一人嫁に出された少女デナーリス(原作ではデニーと呼ばれている)。あるいは、小人症で父や姉からも嫌われているティリオン。このあたりの人種や性別などの多様性は、時代をリードしている面もあるかもしれない。ティリオンを演じたピーター・ディンクレイジは一気に人気役者に。それに、キャラクターが俳優の人気を押しあげるということもあり、デナーリス役のエミリア・クラークやサンサ役のソフィ・ターナーは最近では映画でも主役級の活躍もしてるしね。

最後の世界観だが、これはもう予算をかけていることがほとんどすべてかな。、スペインやアイスランド、クロアチアなどで雰囲気に合ったロケ地選びも完璧。全部CGではこうはいかない。

で、そろそろネタバレを…個人的には前述のようにデナーリスとティリオン推しであったので、二人が邂逅し同じ道を歩みだした時は、「最終的に彼らが玉座を手にすればいいなあ(GOTはまさに玉座をめぐるゲームである)」となんとなく思っていた。で迎えた最終シーズン。はじめに、ほぼ予定されていたナイトキングとアンデッド達との戦いでまずクライマックス。ここは、人間ならざるものが相手ということで、いわざゾンビ相手のバイオハザードみたいなものだから、勝った時には爽快感も得られるもの。しかし、その次に待っているのは、サーセイ率いる王都との戦い。この二段構えにしたのは実にうまい。ここで得られる勝利は、アンデッドとの戦いのように爽快か?と視聴者にふりかえさせる。不吉感を盛り上げておいて、(この時のデナーリスの疲れた表情が非常に印象的)、第5話でのカタストロフィ。観ているこちらとしては、「やっちまった…」という…そう、確かに予兆がなかった訳ではない。デナーリスの残虐性は前のシーズンでもちらちら見え隠れしていた。それを我々はデニー推しなので、ティリオンのように見て見ぬふりをした。あるいはティリオンがおさえられると思った。そんな甘い期待を、製作者達は容赦なく打ち砕く。王都の完全な破壊と大虐殺で。こちらにはもう苦い思いのみが残り、この後ジョン・スノウがどんな行動をとるかも、もう王手詰みのような状況である。ただ、最後に誰が玉座につくかは少々意外ではあった。が、納得できる。

あと、私が密かに応援していたのが、シオン・グレイジョイである。彼はちょっと小心者の、ごく普通の人間である。彼はその小心さゆえに一度罪を犯し、そこからも小心さゆえになかなか立ち直る、あるいは罪を償うチャンスをもらえなかった。それが最終シーズンでようやくその時が来た。彼はようやく戦って償い、赦された。ベタではあるが、感動してしまった。このシーンはよかったと思う。

そんな訳で、しばらくは、GOTロスである。