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エターナルズ

IMAXで2度(木場と池袋)鑑賞。

今年のMCU映画は尻上がりによくなっていって、このエターナルズは期待値がそれほどでなかったのもあるが、今年一番でよかったと思う。クロエ・ジャオ監督は器用だと思った。エターナルズはなにしろ10人ヒーローがいて全員が初登場、世界観も初ということで、かなり導入部に工夫がいるなと思ったが、そこは全員のキャラをさりげなく紹介しつつ話を進める、ナレーションは最低限にとどめることでクリア。アクションもこなす。でいて、観客からつっこまれそうな既存MCUとの絡みについても、登場人物に語らせることで解決(この辺は脚本の力かな)。で独自性が出てないかと思えばそんなことはなく、前作「ノマドランド」でも発揮した、マジックアワーを多用した絵力は健在。いやー、ほんと器用。LGBTQなどのとりこみもさりげなく。ちなみにここに過剰反応し上映禁止した諸国に対し、ディズニーが修正をつっぱねたのは賞賛に値するよ。

特にわたしが感心したのは(この辺からネタバレ)原爆投下後の焼け野原を見て登場人物に涙させ、彼(エターナルズ)が人類に技術を与えたこと(これいわゆる2001年のモノリス的なやつ)を後悔させるというもの。このテーマをハリウッドエンタメ映画が描くって画期的じゃない?その前にはテノチティトランでのアステカ滅亡のシーンもあるしね。

キャラクターもみんなよかった。主演のジェンマ・チャンはもちろん、久々のアンジー、マドンソク、バリーコーガン、ゲースロの二人etcetc(ロブスタークが出てるの最初気付かなかった)。

気になることといえば、ディヴィアンツの扱いくらいかな。これも誰かが言っていたが、エターナルズもデビアンツも結局、セレスティアルズの創造物なのに、両者は共闘にもならずただディビアンツは殺されるだけだったってのは、ちょっとひどいかな。

シャン・チー テン・リングスの伝説

マーヴェル映画です。が、食指が動かなかったのは、巷間で言われているところのルッキズム。すなわち主人公に華がない。という理由だったことは認めざるを得ない。そして鑑賞後は、はげしく後悔している。全面的にわしが悪かった。そして期待度ゼロの分、普通に面白くてもその落差のおかげで大いに楽しめた。そこは感謝する?するのか?よく分からないが。

食指が動かなかったのは、マーヴェル側の、ブラックパンサーでアフリカ系を主人公にした次はアジア系だ!ついでに中国市場もこれでバッチリ!という意図が透けて見えちゃうというか、そういう狙い先行で来ちゃうとやっぱ引くじゃん?てか、中国では上映禁止になったらしいんで後者は外れたようだけど。でも結局、そんなこととは関係なく面白いのです。残念ながら。

まずは、華がないと言われた登場人物たち、実際に動いてみたらすごくキャラが活きてましたごめんなさい。今は無職で駐車場係やってるボンボンならあの俳優さんではまりだし、妹もいい。なんといっても友人のケイティ役のオークワフィナさん、この方の出演作ははじめてですが、いいですね!

また、キャラクターだけでなく、しっかりカンフーしているのもいい。私はそこまでカンフ映画好きではないけど、足場ファイトを観るとジャッキーを思い出し、足の回転は太極拳。ぐらいでも十分楽しめる。

あと、字幕版で観てたけど、ドラゴンのところで「あ、シェンロン言ってる」ってのが何箇所かあって、特に笑いどこではないのにうけてしまった。シェンロンといえば我々の世代では勿論、ドラゴンボールとなる訳で、と思っていたら最後にかめはめ波までとびだした。

ロキ

せっかくディズニー+に入ったのでこっちも。

「ロキ」は、「ソー」シリーズに出てくるソーの弟で、オーディンの息子だが実は養子の、いたずらの神である。この設定は北欧神話そのまんまであり、ロキは神話においても、そしてMCUにおいても「トリックスター」な存在である。そして私はこの手の役の人に目がない。それだけでなく、MCUでロキを演じたトム・ヒドルストンが当たり役で、ロキ人気はこの人あってのものだろう。そんなロキだが所詮は脇役、であるはずが今回はドラマシリーズの主役。まあこれもディズニー+という場あってのものと言えるが。

このシリーズにおけるロキは、「エンドゲーム」で、四次元キューブを盗んで消えたバージョンということになっている。エンドゲームの物語上は、別の時間軸で、サノスと戦い死んだロキというのもいるのだが、そっちではない。そっちのロキはだいぶいい奴になってしまっていたが、そうじゃない方というわけだ。が、ドラマの主人公を演じる都合なのか、ロキ様は回を追うごとにどんどんいい奴になっていってしまう。それじゃ普通でいまいち面白くない。救いは、この世界に登場する人物の8割はロキの「変異体」ということになっている。やがて愛しあう女性版のロキもいたりするのだが、それってよく考えてみると自分自身を愛しているだけである。それを考えるとちょっとロキらしくてよい。対話もみんな自分の中での内省と考えれば、なんて自省的な話をやってるんだと、おかしくなってくる。ワニ版のロキなんてのもいたりして…

物語だが、時間軸を分岐させる「変異体」を取締るTVAという組織と戦う話になっている。そんな組織があるなら、エンドゲームのアヴェンジャーズなんか全員が取締り対象のような気がするが、なぜかつかまり「剪定」されるのはロキばかりのようだ。その辺を含め、謎は最終回でも終わらず、実はシーズン2に続くらしい…

ワンダヴィジョン

ディズニー+で配信されているマーヴェル・シネマティック・ユニヴァース(MCU)作品。噂を聞いて見たい見たいと思っていたのだが、何せ有料なもので…数ヶ月我慢して、ようやく時間がとれそうだったので、鑑賞。

このドラマの本質的な部分については、Youtubeのシネマ野郎チャンネル「てらさわホーク×御代しおり ぼんやりワンダヴィジョン」でほとんど語られていて、私が付け加えることはほとんどない。曰く、

  • このドラマはMCU映画見てる人前提
  • こえーよ。不気味
  • 時間が30分というのが丁度いい
  • MCUの今後にとって超重要な作品

ということだ。付け加えるなら、このドラマシリーズの前半は、アメリカのシットコム構成になっていて、客の笑いなどを入れつつ、とことどころに違和感を生じさせるものになっていて、(以下ネタバレ)これはワンダの妄想なのでは…?と気付く人は気付く展開になっている。特に、映画で既にヴィジョンが亡き者になっていることを知っている観客なら。それが早々に4話で明かされると。あとは、いかにワンダの妄想、というか現実改変能力を止めるかということになっていく。ワンダが何をしているかというと、町一つを住民ごと改変してしまって、自分の世界に住まわせている。住民にしてみれば否応なしにつきあわされている訳である。

ここまでのところからして、ワンダ、全然善人ではない。クライマックスでは、アガサ・ハークネスという適役が正体をあらわし、対決になるのだが、はたしてそれを通過しても正義のヒーローではないし、最後いいなりにさせてた住民にも直接謝ったりはせず、最後には逃げだしている。でワンダは先のアガサとの戦闘中に「スカーレット・ウィッチ」として覚醒しているのだが、最後の最後のシーンではその2つが分裂した状態で描かれる。先の御代しおり先生曰く、ワンダはMCU随一のメンヘラとして有名なんだそうで、これまでの映画シリーズでは描かれていなかった彼女の本質が、今回初めて描かれたということなんだろう。もっとも、これについては私は否定的ではない。そんな正義のヒーローばっかでもね。特に前半の現実だか夢だかが曖昧なところは私は大好物なので、それだけでもこの作品は推したい。

キャプテン・マーベルに登場したモニカ・ランボーが登場し、今後もシリーズに絡みそうなのもなんか楽しみである。

あ、この作品、謎はだいたい解決しているのだが、ただ一つ、ヴィジョンの遺骸をもとに再構成された白ヴィジョンは記憶を取り戻して出ていったが、その後どうなった?放置されていたけど、これも次のシリーズへの布石か。

ブラック・ウィドウ

待ちこがれたタイトルだが、公開すぐに時間がとれず、土曜の最終回に109シネマズ川崎で、IMAX2Dで鑑賞。109の日だからか土曜の最終回だからか、入場もフードの列も大混雑で、席もほぼ満席。ちょっと本来なら避けたいシチュエーションだが、緊急事態宣言が発令ということもあり、この機会を逃がすと次いつ見られるか分からんということでしぶしぶ。がやっぱり見てよかった。結論からいうと、今年になってからはじめて2回観たいと思った作品です。久々のMCU作品ということで、期待値は元々高かったが、ストーリー、役者、演出、アクションすべてで期待を上回った。

では、ネタバレしつつ感想を。

実は、オープニングのMARVELのムービーでナターシャが映った瞬間もう泣きそうに。映画関係ないやんけ。待ってましたというのもあるが、やはりエンドゲームにおいてご本人がもうお亡くなりにというのを引きずってる。ナターシャというかスカジョ様好きなんす。そんな死んだキャラの映画をどう作るのかというのが注目だったが、舞台はいきなり1995年のオハイオから始まる。ヘ?オハイオ?ロシアじゃなくて?このナターシャ・ロマノフというキャラはソ連生まれで、冷戦で活躍したんじゃなかったか?オハイオにいた理由はすぐに分かることになる。なんとスパイとして潜入していたんだと。え、もう冷戦集結してるよね?しかも逃げこむ先がキューバってなんで?と、やや苦しい面もあるが、そこはキャラクターの年齢がおかしなことになるので目をつぶろう。そのオハイオでスパイが仮面家族を演じていた訳である。姉のナターシャはそれを認識しているので、それが明かされた後で、ああ、それでナターシャは妹と対照的にあんな冷めた態度なのかと、この辺は演出としてうまい。

時は経ち、21年後。舞台としては、シビルウォーの後くらいということらしい。つまりナターシャはスティーブ側に立ったため、追われる身になっていると。こいつら、追跡能力が半端ない。なんでここまで?ってとこまで追ってくる。この辺あまり説明ないんだけど。でブダペストで妹と再会。でいきなり格闘。この辺はネタバレしてたけど。ただこの格闘が結構キツいやつ。WWEのキャットファイトみたいんじゃなく、ゴジラvsコングレベルの本気度。いいね。でこの妹エレーナちゃん、を、あの演技派で売り出し中のフローレンス・ピューが演じている。私がたまたま観たのは、「マイストーリーわたしの若草物語」「ミッドサマー」だが、そのどちらともまったく違う演技。今回は特にロシア訛りがきつい。いやーフローレンス半端ないって。

この辺でちょっとギャグがとびだす。エレーナが、「スーパーヒーローってかっこつけてこんなポーズするのがキモい」とやってみせるのが、デッドプールでもネタにしていた「スーパーヒーロー着地(Superhero Langing)」。このオリジンは、(確かマクガイヤーゼミで言ってたんだと記憶)「攻殻機動隊 Ghost In The Shell」の草薙素子らしい。押井監督半端ないって。それはともかくこのネタは結構な笑いをとっていた。しかもこの後もこのネタはひっぱられ、そのたびに笑いをとっていた。すげえ。

更にこの後、収監されている「父」のアレクセイを救出。こいつ実はスーパーヒーローだったんだな。しかし今はめっきり太ってしまい昔のコスチュームが着られない。こういうのもネタにしちゃうのがなかなか。

あとは、クライマックスに向かっちく訳だが、「疑似家族」が本当の家族になる過程をアクションに混ぜて進めるあたり、この辺もなかなか。ディズニーだから人死なないと思いきや、最低限は死んでる。まあそりゃそうか。

で、エンドロールの後、みんな席立たないねー。ほかの映画だとほいほい立っちゃうと思うんだけど。最後に何かあるMCUしぐさをわかってるね。で、エンドはもうエンドゲーム後で、エレーナがナターシャの墓を訪れるシーンになる訳だが…そういえば、ブダペストでのホークアイとの絡みって、今回もっとやるかと思いきや、ナターシャの口から語られただけだったね。まあ今回ホークアイは写真のみ出演ということでやむをえないのかな。で今後エレーナとホークアイの絡みあるんかな?と期待させる今後。

あー面白かった。もう一回は見たいな。

スパイダーマン ファー・フロム・ホーム

エンドゲームでMCUが一段落した後のお茶漬け的作品?と言われていたが、どうしてどうして。今までのスパイダーマンシリーズの中では(スパイダーバースを除き)一番よかったと思う。

ストーリー自体は、どっかにありそうな話ではある。んだけれども、何がよかったかというと、「リアル感」かな。設定があまりにも現実から離れすぎてしまうと、観てる側は「ふーん。こんな設定かあ。」とある意味冷めた視点になってしまいがち。その点本作はニューヨークの学校の設定から、非モテの行動から、それがホームを遠く離れてヴェネチアやチェコに行ったとしても、そのリアル感が維持されている。それは物語への没入という点では非常によかった。

そろそろネタバレ…今回のヴィランであるミステリオは、事前に「原作ではヴィラン」という情報を入手していたせいかもだが、例の店のシーンでは不自然さが目立った。が、彼が駆使する技はヴァーチャルリアリティ、というので、こちらも現代的かつリアル。なまじ、スーパーパワーを持ってないだけに、一旦ネタがバレるとつらいものがあるが、まあ敵がスパイダーマン一人だから十分成立するだろう。

エンドロールの後にちょっとサプライズがあるが、それはさすがに…わからんよねえ。

ところで、さっきのグラスを渡す店のシーンだが、ミステリオは絶対にピーターがグラスを渡すか確証がないにも関わらず、周到な準備をしすぎ。可能性の低い方に賭けすぎ。と思った。が、これは彼が人の心理を操ることに絶対の自信があった…と、善意に解釈するこちにしよう。