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スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け

映画に対する評価は、その対象をどのような立場で捉えるかによって変わってくる。スターウォーズ(SW)について言えば、私はシリーズとしてはそんなに大好きではないがわりと好き、前作「最後のジェダイ(TLJ)」はかなり好きという立場。とうぜん、SW大好きという人だとまたTLJについても変わってくるだろう。それは本作についても言える。ちなみに私は、前々作の「フォースの覚醒(TFA)」はあんまり好きではない。町山さんが「ベスト盤」と評していたが、あまり目新しさがないからなんだろうな。その点TLJがよかったのは、斬新なチャレンジがあったから。

で、本作はというと、TFAと同じJJエイブラムズ。この時から若干嫌な予感はしてた。TLJがどういう作品だったかというと、JJの古臭さをライアン・ジョンソン監督がすべてぶち壊したという意味で斬新だった。カイロ・レンのマスクをぶち壊したり、パルパティーンのコピーみたいなスノークをあっさり殺したり。旧作のメインキャラもレイアを除きお掃除。で終わって、さあ次作どうなるというところで、再びJJ登場。さあJJこの流れをどうする?という流れだった訳だ。

予告が流れてパルパティーン復活を知ったとき、「悪い予感がした」訳である(本作でもI have a bad feelingを誰かしゃべってたな)。そこで、タイトルの「スカイウォーカーの夜明け(The Rise of Skywalker)」である。TLJで、レイはスカイウォーカー家のものではなく、誰でもない子ということになった。が、スカイウォーカー家はレイアとカイロレンしかいなくなっており、まさか、まさかのレイ=スカイウォーカー説復活!?と勘繰ってしまいさえする。

で、前作の挑戦に対し、(この辺からネタバレ注意)JJがどうしたかというと、ジョンソン監督に壊されたものは軒並み修復してきた。壊されたカイロレンのマスクは作り直す。スノークの代わりに、死んだはずのパルマティーン復活。これではあれじゃない?結局、ジェダイの帰還(TROJ)の焼き直しをするだけじゃない?という悪い予感がビンビンしてくる訳だ。細かいとこでは、TLJでライトセイバーをポイッとしたルークに、「武器を粗末にするな」と言わせたり。この辺かなり意図的にやってるだろ。

ストーリーも、始めの方、なんか修行していて「また修行かよ!」と思わせるし、その後も既視感バリバリ。脚本もさあ…なんで、大事な古代の剣をチューイに持たせとくの?でそのまま外に出すの?なんでデストロイヤーの警備は、コイン1個で認証して中に入れてしまうの?とか。いきなりクライマックスの話になってしまうが、パルパティーンがレイに自分を殺したら皇帝になるとか言ってレイは殺すのをいったん止めるのだが、結局最終的に殺してめでたしめでたし。え?さっきのはなしになってたの?

けなしばっかりしたが、絵作りはなかなかよかったと思う。最初の林の中のカイロレンのシーンはよかったし、リモートでレイとカイロが戦うシーン。アダムドライヴァー絡みのところはだいたいよかった。

最後のレイの正体については…「なるほどそうきたか」と意表をつかれた。しかし、その後の展開は、やっぱりTROJと同じだったね(罪を背負ったアナキン=ベンが改心してルーク=レイを命がけで救う)。そして最後、レイがとんでもない裏技でスカイウォーカー襲名!途中は違ったが俺の言った通りじゃん。結局JJこれにつなげたかったか。

この作品の評価はむずかしいが、間にTLJがはさまれたことで、本作が単調になりがちなところが救われたと思う。JJも前作の流れが無視できなくて苦労しただろうし、それで若干のひねりが入ってくれたのだと思う。しかしこのシリーズは続きそうだねえ。今作初登場のルピタ・ニョンゴのストーリーとかもできそうだしね。

あ、そうそう、前作で既に鬼籍に入られていたキャリーフィッシャーですが、本作でも登場してましたね。さすがにセリフも動きも少なかったが、ここまで本人再現できてしまうんだ、と思ったね。