バトル・オブ・ザ・セクシーズ

私はナブラチロワ世代なので、本作の主人公であるキング夫人のことはよく知らず、本作の「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」の実話の方も(結果も含めて)知らなかった。そのことが本作の鑑賞に、スリルという意味での好影響を与えたのは確かである。しかし、男女差別の悪い男に立ち向かう正義の女子!のような単純な話ではなかった。プロットはその通りなのだが。それよりもよりパーソナルな映画だった。ビリージーン・キングは決して勇者ではなく、敵のボビー・リッグスもただの悪者ではない。その等身大な二人が止むを得ず、茶番のような戦いに巻きこまれていく、そんな話だ。「茶番」と言ったが、「性別間」というのは建前で、実は賭けの材料だったり、視聴率だったり、そんなものが本当の目的。だけど、いろいろ背負わされてしまったキングが立ち上がるが、それは必ずしも、見えない「女性」という見方のためにはあまり見えない。だが、その空々しさがない分、ドラマがリアルに見える。

最後のバトルの部分はとてもリアルに作られており、淡々と試合経過を追っているようで、観客をその「バトル」に引き込み、観客を最後には感動に誘う。要は、その最後のバトルの意味づけを延々その前のドラマでやった訳。この構成はうまいと思う。私にとっては「アイ・トーニャ」に続く、実話ものの感動の再現となった。

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