パラサイト 半地下の家族

本作はハジメ、スルーする気でいた。時間もとれないし、他にも見たい作品あるしで。ところが、本作がアカデミー賞作品賞など6部門にノミネートされ、それだけでなく、「めちゃくちゃ面白い」という評判ばかりが聞こえてくるに至って、「これは見とかねば!」となり、先日TOHOシネマズ日比谷で鑑賞。

で、感想だが、「めちゃくちゃ面白い」。語彙が貧弱?だって、山里さんも宇多丸さんもそう言ってたでよー。何が面白いかというと、まずは笑い。本作は貧乏人が金持ち一家に家族ぐるみ雇ってもらう(家族ではないふりをして個別に)話で始まる。その「騙し」の過程がなんともおかしい。おかしい以上に驚いたのは実は、ジョーダン・ピール監督の「アス」とほぼ同じ構造を持っていること。これは似てる似てるという話は聞いていたが、びっくりするぐらい同じだよね。ポン・ジュノ監督も知らないで作っていて、驚いたらしい。が、話の出来でいうと、こっちの方が100倍いい。何がいいかというと(そろそろネタバレ)、笑い以外にも、観客が、こうなりそうな予感。でもなったらやだなーと思っていると、やっぱりそうなるんかいーみたいな展開。これはエンタメのツボをしっかりおさえている。例えば、金持ちがキャンプに行っている間に、ニセ他人の家族がその家で酒盛りをしていて、しかもわざわざ「こうしている間に主人たちが突然帰ってきたりして」と言うとそれがほんとうになるような展開。あるいはソン・ガンホの父親が最後にとる行動が、唐突のようで、それまでにシチュエーション的にはその種をまいてあり、徐々に臨界に近づくところを見せている点。また、アイテムの使い方がうまい。たとえば雨。突然の雨は不吉の予兆、つまりこれから起きる「地下の住人の発見と格闘」や、「主人一家の突然の帰宅」のしるしでもある一方、主人公たちが帰ってみると、その雨の洪水で半地下の家が水没してるとか。あるいは石。主人公が大事に持っている石は「なんとなくこれで殴ったら人殺せそうだな」という印象を観客に与えておき、おっと実はというちょっと裏切った展開。うまい。

本作は作品賞ノミネート。アジア初だそうである。鑑賞してからなら自信を持って言えるが、作品賞とってほしい。最悪脚本賞や監督賞はとってほしいな。ポン・ジュノといえば私が観たのは「グエムル」程度で、当時はうっすら「パトレイバーのパクリ」といった印象しか残ってないが、ちょっと見直してみたくなった。

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