透明人間の気持ちを考えろ!(透明人間)

タイトルですべて説明してますが、最近公開された「透明人間」の感想です。私にとって透明人間映画といえば、「インビジブル」。これは透明人間観点から撮られたもので、バーホーベンが撮ったというのもあるけど、非常に印象に残っている。一方本作品は、徹頭徹尾、狙われる人間目線で話が進む。つまり、透明人間がいるのかいないのか、どこにいるのか、正体は誰なのかも含め、謎のまま進行。

ところで、透明人間といってもざっくりいって、2つパターンがあると思う。1つめは、実体も含め完全になくなってしまうパターン。こっちの方は幽霊のごとく壁もすり抜けられる。しかしこっちはやや現実離れしてしまうのか、最近はもう一つのパターンが多いように思う。つまり、人間としての実体はあるが、単に見えなくなっているだけというもの。本作ではもう少し科学的に、光学迷彩スーツを使って透明化することになっている。一見本作は科学的になっているように見えて、透明人間視点でみると、実に不自然な点が多くなっているのだ。(この後ネタバレあり)

例えば、この透明人間は実に執念深く、主人公が収監される事態になっても(透明人間の罠で)、檻の中までついていく。つまり鍵をかけられた中に一緒にいる訳だ。そこまでする?という気持ちの問題はさておくとしても、閉じこめられちゃってどうすんの?と思う訳である。いつ出されるか分かんないんだよ?睡眠や排泄はどうするのか。見張っている間は我慢できるのか。このように透明人間の立場になってみると透明人間は超人化してしまうことになってしまうのだ。主人公が収監されるきっかけとなった、妹をナイフで刺して主人公に握らせるというのもそう。刺してから目にも止まらぬ速させ主人公に握らせているのも人間離れしているが、それ以前に、刺そうと思って握っているナイフは(光学迷彩スーツでは)透明にはできないはず。すると空中に浮いているナイフを誰から目撃してしまう危険がある。

そもそも透明人間の挙動が首尾一貫してない。弟を通して遺産をあげるといっておいてとりあげる。最初からあげなきゃいいのに!また主人公の子供がほしいといって妊娠させておきながら、殺人の濡れ衣を着せて牢屋に放り込むってなんだよ。めちゃ胎教に悪いじゃん!とか。あと透明人間、銃で撃たれまくってるのになかなか死なないってのもどうなのか。光学迷彩ってのと防弾は違うと思うが。

透明人間だけでなく、主人公にも超人気質が。それはラストシーン、主人公の身代わりがえらく速すぎるということ。さすがにこの辺は核心つきすぎてるので、気になる人は鑑賞して確認していただきたい。

それ以外の点では、主人公の挙動が間抜けすぎるのも…冒頭、夫のものから逃げだすのだが、何かにつまずいて音をたてたり、挙句の果てに車の防犯アラームをけたたましく…わざとやってるとしか思えない。というか、あそこで夫が気付いて追いかけてくれないと話が進まないからという、完全ご都合だよね。

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