さよならテレビ

東海テレビの平日夕方の報道番組「ONE」を同局スタッフが裏側から描くドキュメンタリー仕立ての映画。「さよならテレビ」なんて挑発的なタイトルをつけられては、やはり観に行きたくなってしまうというもの。私と同じことを考えた人がいたのか、ポレポレ東中野の20時の回は(鑑賞料金1000円の日だったとはいえ)130人の超満席状態で、ざぶとんやパイプ椅子が登場する事態に。

で、映画の冒頭は、その裏側から描く目的がふわっとしているので、撮られる側だけでなく観ているこちらもなんとなくいらいらする。そんな中、監督は3人のスタッフに密着していくことにする。自分に自信がなく、しゃべる時間もきっちり決めないと気がすまない福島アナウンサー、自称、「ぜひネタ(スポンサーなどからぜひにと言われて放送するネタ)」が得意というノンポリっぽい澤村、派遣社員で要領の悪そうなドルオタの渡邊君。それぞれが、追っていくうちにキャラクターのいい味を出していく。渡邊君は笑わせキャラをずっと出しているのだが、他の二人は自分の今のポジションに悩み、抜けだそうとあがく。その姿を追いつつ、監督は報道の抱える問題を暴こうとする。働き方改革で残業カットと視聴率向上で板挟みの管理職、報道は権力のチェックを柱に挙げつつ、やってることは食レポだったり、どうでもいいネタだったり、結局日和ったり..。それにどこにでもある派遣社員の問題とか。

で(そろそろネタバレです)、ドキュメンタリーなのにキャラが立っていて見やすいけど(立たせ方がいいのか)、なんか問題はとっちらかっているなあと思っていると、最後に澤村さんが、カメラ目線で、「この映画何がしたいの?終わりはこれでいいの?」と問いかけだす訳。すると、突然カットバックになって監督が演者に演出をつけている、というかキャラ付けや編集してるといったことを見せていく訳。ええええー?と驚くよね。じゃあ、今までのはどこまでが本当でどこまでがフェイクなの?これはいわゆるやらせなの?途中で放送事故とかあったけどあれもフェイクなの?と一気にこっち、疑心暗鬼になる。で、ここまできて、はたと「あ、これが監督の意図か」と気付く。まあ、そういう映画です。

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