スパイダーマン スパイダーバース

「未来のミライ」を押さえ、アカデミー長編アニメーション賞に輝いたので、そんなら見てみるかという軽い気持ちで3D鑑賞。マーヴェルものもアメコミも、実写映画は観るけどアニメははじめてだし。ところがこれが、予想以上に面白かった。ファーストマンとかもあったが、いきなり今年のベスト映画候補。何がいいのか?難しいな。ストーリーはいわゆる主人公のわりとまっとうな成長物語だし、絵作りは凄いけど、それが決め手とも言い難いし…あえて言えば、魂を揺さぶられるところ…かな。あんまりそうでもないところで涙が出てきてしまった。

後、感心したのは、これがいわゆる並行世界もので、一般にはなかなか受けない題材を扱っているにも関わらず、説明がなくても物語に入っていけるように工夫している点。映画に感動して、思わずコミック版「スパイダーバース」を衝動買いしてしまったが、読んでみたら全然違う話でコケたが、この原作?をそのままやるとキツいだろうなと思った。映画では、マイルス・モラレスとおっさんスパイダーマンをフォーカスして、うまく登場人物も整理して観やすくなっている。あと重要なのは笑いの要素ね。感動もしたが何度も笑かしてくれた。

唯一不満と言えば…日本のアニメ起源と思われるペニー・パーカーの作画が今いちなこと。こういうのはグリヒル先生(私が唯一読んでいたアメコミ「グウェンプール」の作画担当)にでもやらせればいいのに。

アリータ バトル・エンジェル

主人公の目が大きすぎ問題(何億ドル?もかけて加工する意味があったのかは疑問が残る)は、物語を観ているうちに慣れた。あと監督がロバートロドリゲス問題については、私はもともと好きな監督だし、そんなに気にはならなかった。ていうか、あんまりロバート・ロドリゲスの味はしない。ダニー・トレホもいないし(いなかったよね?)。やはりこれは巷で言われているようにキャメロンの映画なのかな。

映画は面白かった。私は銃夢は未読(実はあまり好きじゃない)なので、Dr.マクガイヤーのような、原作のどの部分がという観点では評価しない(できない)が、単純に面白かった。特にモーターボールでのスピード感はすごくいい。気になったのは、全体になんとなく漂う、古い表現感?例えば、アリータの決めポーズとか。

ファースト・マン

ファースト・マンは最初あまり観る気はなかったが、推す人が多いので観ることにした。結果大正解。予習してよかったと思うことはあまりないが、岡田斗司夫氏のニコ生は、聴いておいてよかったと思った。

この作品、やたら人物の顔アップが多い。それが、アクシデントの場面では非常に効果的。そのアップが生きるのは、表情での演技のシーン。特に、主人公ニールの奥さんの一挙手一投足が目に焼きついて離れない。この人なんでこん場面でこんな表情してるんだろう?と思ってしまう。実話でのこの夫婦のその後がどうなったかの情報は入れてしまっていたが、そのことがあって余計気になる。劇中の会話でもあったが、孤独というよりも、「普通でないこと」がいやになったのかなと思う。

アクアマン

今どき例を見ないどストレートの貴種流離譚だった。それ以上でもそれ以下でもない。ストーリー的には何ひとつ予想外のものはない。が、それへのキャラクターやアクションの味付けがうまいので、普通に面白く観られる。そんな映画。ちょっとびっくりしたのは、冒頭で主人公アーサーの母親が出てくるのだが、若作りで誰だかわからんかった…ニコールキッドマン。ところがこのニコールが大活躍なんだな。主人公と恋人役のいいシーンもあるのだが、基本は、父親、兄貴も含む家族の方がメインの話に思える。同じ貴種流離譚をベースにしたスターウォーズと同様、家族内戦争。

サスペリア

実はダリオ・アルジェント版も観ていなければ、ルカ・グァダニーノの前作「君の名前で僕を呼んで」も未見。そういえばやたら女子率が高かったのは、レディースデイということだけでなく、前作のせいか?まあホラーがもともとそんな好きでない私だが、それでも見に行こうと思ったのは、この作品について評価が真っ二つだとか、アルジェント監督が激怒してるとか、逆にタランティーノが絶賛してるとか聞いて、がぜん興味が湧いた。とにかく何か新しいものが観れるのじゃないかと。

鑑賞して…そうだな、期待していた何か新しいものが観れて満足。もちろん、観てよく分からないところがあり、「ヘレディタリー/継承」同様、再鑑賞したい作品である。最初、人間関係をつかむのに苦労。最初にクレンペラー博士を訪れたのは誰?(パトリシア)とか、田舎みたいなとこに寝てる女の人は誰?(スージーの母親?)とか。しかも、登場人物が嘘までつくから始末が悪い(ミセス・ブランって誰?と思っている時に、本人でない人間が「私がブランです」と宣言)。

物語の主要な部分であるダンス(ノイエ・タンツ)については、非情によかった。ここだけでも何度も鑑賞したい。

2018年ベスト映画

2018年に鑑賞した新作映画から、2017年にならいベストを決めてみよう。

  • 作品賞:「ボヘミアン・ラプソディ」
  • 監督賞:上田慎一郎「カメラを止めるな!」
  • 主演男優賞:ラミ・マレック「 ボヘミアン・ラプソディ 」
  • 主演女優賞:マーゴット・ロビー「アイ、トーニャ」
  • 助演男優賞:スティーヴ・カレル「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
  • 助演女優賞:しゅはまはるみ「カメラを止めるな!」
  • 脚本賞:「カメラを止めるな!」
  • 撮影賞:「 ボヘミアン・ラプソディ」
  • 音楽賞:「ヘレディタリー/継承」
  • アニメ映画賞:「若おかみは小学生!」

んー。カメ止めとボヘミアン・ラプソディが席巻したな。この2作品は期待値の上回り度合いが頭抜けていたからなあ。

以下、面白かった順に並べてみる。

  • ボヘミアン・ラプソディ
  • デッドプール2
  • カメラを止めるな!
  • ブラックパンサー
  • アヴェンジャーズ インフィニティウォー
  • アイ、トーニャ
  • バトル・オブ・ザ・セクシーズ
  • シェイプ・オブ・ウォーター
  • スリー・ビルボード
  • ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル
  • 全員死刑
  • ヘレディタリー/継承
  • 仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER
  • ウィンド・リバー
  • アントマン&ワスプ
  • デトロイト
  • 華氏119
  • パシフィック・リム・アップライジング
  • ローガン
  • ジュラシックワールド/炎の王国
  • レディ・プレイヤー1
  • ヴェノム
  • 魔法少女リリカルなのは DETONATION
  • ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー
  • トゥームレイダー ファーストミッション

アントマン&ワスプ

なんと、前作「アントマン」を観てない状態での鑑賞。だから、設定等分からないところは多少ある。が、それはあまり気にしなくてもいいようになっている。わりと軽めの内容で、面白く観れた。最後は、ちゃんと「アヴェンジャーズ:インフィニティウォー」につながるようになっている。

魔法少女リリカルなのは DETONATION

前後編の後編。鑑賞してみて思ったのは、「これは前編いらん…」というもの。多すぎる登場人物たちの整理をつけるだけで精一杯になってしまった前編と違い、後半はちゃんとストーリーが動いているし、それで人物関係もちゃんと把握できる。盛り上がりもある。前編の内容については、今作の冒頭で紹介されるダイジェクトで十分。

ファインディング・ドリー

確か、機内鑑賞。映画館で鑑賞までのモチベーションはなかったということだが、可もなく不可もなくという出来ではあったかと思う。というか、「自分探しの旅」としては十分楽しめたので、「可」といってもいい。いらんかったのは、やたら館内に八代亜紀のアナウンスが入ること。こんなサービスは別にどうでもいいというか邪魔。

ヘレディタリー/継承

例によってネタバレ注意。

1度鑑賞したが、どうも不明な点が多く、もう一度観てみたい気もする。だからこの感想は仮のものととらえてください。

この作品、途中までは文句なしに怖い。何が怖いのかというと、母親。こいつの実の息子に対するむきだしの憎悪や、狂気がなんとも…その狂気がゆえに、「信頼できない語り手」と化し、彼女が目撃している映像も、「これ本当に起きてんの?」と疑ってしまう。しかし現実であっても虚構であっても、むしろそれが着地しない不安定さゆえにか、怖い。

一方、結末はちょっと日本人には、「えーあーそうですか」という若干の脱力感を誘う。

by morota