「映画」カテゴリーアーカイブ

2020年に観た映画

去年はコロナで多くの映画が公開延期になり、鑑賞の機会もだいぶ減ってしまったのでどうしようか迷ったが、観た中でも総括してみようかと思う。

  1. パラサイト 半地下の家族
    やっぱこれよね。アカデミー賞での衝撃も後押ししたが、とにかくめっっちゃ面白かった。途中でテイストが変わることに戸惑う人もいたが、私は肯定派。
  2. 続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画
    これもショッキングという意味では1に劣らない。なによりリアルにもすごい影響を与えている、これだけタイムリーな映画があるか。日本ではできないだろうという意味をこめて2位。
  3. ミッドサマー
    もう二度と観たくない、と強烈に思わせるその強烈さでランクイン。これのせいで、昔はダメだと思った「ヘレディタリー 継承」を再鑑賞して再評価したりした。
  4. ストーリーオブマイライフ〜私の若草物語
    タイトルで損してる話。メタフィクション。
  5. ブックスマート
    これはよかった。特にビーニーがよかった。
  6. ハスラーズ
    これはJ.LOの映画。ポールダンスも実は最初全然できてなかったと知ってびっくり。
  7. TENET
    文句もいろいろ言いたいが、絵としては魅せてくれるさすがノーラン
  8. 1917~命をかけた伝令
    これも賛否両論だがやはり絵の力。
  9. はりぼて
    日本で最もボラットに近付けるとしたらこの辺?「さよならテレビ」や、「なぜ君は総理大臣になれないのか」など、ドキュメンタリー(タッチ)の映画が今年は豊作だったね。
  10. フォード VS, フェラーリ
    なんかほぼ1年前で記憶が薄れかけているが、きっとよかったんだ。うん。

主演男優賞:サシャ・バロン・コーエン(続ボラット)
主演女優賞:フローレンス・ピュー(ミッドサマー)
助演男優賞:アダム・ドライヴァー(テリーギリアムのドンキホーテ)
助演女優賞:ジェニファー・ロペス(ハスラーズ)

監督賞:ポン・ジュノ
撮影賞:ロジャー・ディーキンス
脚本賞:グレタ・ガーウィグ
音響賞:ドナルド・シルヴェスター

特別賞:テリー・ギリアム

チャーリーズ・エンジェル(2019)

初代チャーリーズ・エンジェルは見てない世代で、2000年の映画はフルスロットルも含め鑑賞済み。本作公開時(日本だと2000年)は、「さすがにもういいだろ」。この題材で、いくら新しいキャラでリブートしたところで、そんなに目新しいポイントが見られるとは思わなかった。ので、スルー。が、最近ふと見る機会があり、大いに前言撤回したい。

まず、その「キャラ」だ。言うても前回は、特に3人の中に推しキャラはいなかった。まあドリューとかはがんばってほしいとは思ったがそれとこれとは別。今回は…いる!それは…前回はなかったアフリカン枠の、ジェーン(エラ・バリンスカ)ちゃん!ちょっとかわいすぎませんかこのこ!この辺の写真とか見てみてください。外見だけで盛り上がってしまいますが、このジェーンちゃんを含め、キャラクター配役的には大きく成功していると言えます。まず、最初に登場するサビーナ(クリステン・スチュワート)。いかにもなステレオタイプ的長髪ブロンドで登場しておいて、途中で実はウィッグで、脱いだらバリバリ短髪でした。性格も含めめっちゃ武闘派という、今までとは違うことをしっかりアピール。3人目のエレーナ(ナオミ・スコット)あれ、実はこの人見たことあるような!?過去の出演作を見るとパワーレンジャーってあるけど、ここで見たのかなあ?それはともかく、新人らしいおとぼけ演技でいい味出してます。ちなみに新人役だけどこの人が一番年上(じゃなく、クリステンが一番上だった。にしても意外と年上)。

まあこのチャーリーズ・エンジェルという題材自体がですね。女性自立のアイコンの意味合いが元々強い訳ですから、今さらではあるんですが、この映画が登場したのはトランプ政権や#MeeToo運動を背景にして「ワンダーウーマン」やアトミックブロンドあたりから、「スキャンダル」そして日本ではほぼ同時公開の「ハスラーズ」に至る一連の流れからすると、出てくるのはほぼ必然であったと言えましょう。2000年との大きな違いは、「チャーリーズ」と言ってはいるもののボスのチャーリーは不在で、その代わににボスになるのが本作監督でもある女性のエリザベス・バンクスであるところ。この改変は小さいようでいて大きいですよ。それと、男で言うところのブロマンスが強調されているところ。この辺はハスラーズとも共通してますね。実はクリステン・スチュワートはバイらしいのでその辺を踏まえて鑑賞すると深く感じるものがあるかも?

ノマドランド

アカデミー賞シーズンということで、色々見ようと思ったが、忙しいやら映画館空いてないわで、ようやっとこれだけ鑑賞できた。いやー、美しい絵だね。そして主演のフランシス・マクドーマンドの演技がすばらしい。これ観ちゃうと、この前の「スリービルボード」って何だったのかと思ってしまうくらい。そして「ファーゴ」を観たくなる。

この作品は原作にはあった、アマゾンの労働の過酷さなどが描写されていない(もちろんアマゾンの許可を得て撮影してることもあるが)という批判もあるが、監督の主眼はやはりそこではなかった。だから私はそれほど気にしない。そこを主張したい映画を作りたいなら他の人がやればいいよ。

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

TVシリーズを(半ば強制的に)見させられてからはや何年?旧劇場版を見、新劇にもつきあい、そして今回。リピートマークが付いているとはいえ、これで一区切りなんでしょ?そうなんでしょ。そんなに大好きというほどでもなかったけど、ここまでつきあうとアヴェンジャーズ・エンドゲームのような感慨ひとしお。しかも、今回ちゃんと、総括的な内容になりつつ、少しメタに進みつつ、筋も(比較的)明快!展開も最初にアクションでひきつけといて、主人公がいったんドン底に落ち、そこからはいあがってくるというシナリオ骨法の基本をおさえている!宮崎監督に批判された、「消費ばかりで生産が描かれていない」点もしっかりクリア!更に、下からのアオリ視点でサービスサービス!それでいて、本質である私小説的テーマはしっかり描いた!庵野監督はこうして這いあがったのかと納得!更に総括的なメタな内容もチョコチョコ入れてきてこれもサービス!「さようならすべてのエヴァンゲリオン」というダブルミーニングが効いてること!アダムも!でかレイも!Airの最後の浜辺も!(しかし「気持ち悪い」とは言わない!)

最終回にして最高の内容をありがとうという感じです。ちょっとネタバレしてかかもですが気持ちがハイになってるのでごめんなさい。

続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画

前作のボラットは噂に聞いているだけで、未見だったが、たまたまダースレイダーさんのyoutubeで町山さんと配信実況をやると聞き、これは見なあかん!と思い、続きだがいいや!と鑑賞しつつ、実況解説(ウォッチパーティと言うらしい)を聞く。これがとにかく最高で、いろんな意味で最高。何がかをこれから言う。

1点めは、内容そのもののすばらしさ。前作はわりとドッキリ中心だったと聞いているが、今回はドッキリに主に主人公ボラットとその娘を軸にしたストーリーをまぜてきている。ドッキリそのものは、非常に悪質(いい意味で)で、下品(いい意味で!)なのだが、それが荒唐無稽ないように見えて、しっかりした計算の上に行われている。それがストーリーにうまく絡みつつ、アメリカの現状を浮き彫りにするように仕組まれている。そして話題性も十分かつ、大統領戦直前のこの状況を見越したような最後の大仕掛け。関心するしかない。

2点めは、それに対するお二人の解説。聞いてみると、「これは確かに、お腹に赤ちゃん(ダブルミーニング)で相談にいったとこの人はなんなんだとか、南部で娘のお披露目パーティみないなのは何だとか、そういった背景説明がないとスルーしてしまう。これは解説付き必須じゃん!Amazonプライムで配信してるのだが、この実況副音声付けた方がいいよAmazonさん。

3点めは、実況のやり方。配信なので、生放送でなくみんなの開始時間を合わせないと、タイミングよく実況できない。なので、今まであんまりやられていなかったと思うが、この実況でさ最初に時間を合わせてスタート。その後も節目節目で時間を確認。私も最初から流して手を触れなければいいのに途中でいじってとばしてしまったりするから、この途中での確認は非常にありがたかった。このシステムを配信実況のスタンダートとしてみんなやるべき。

なぜ君は総理大臣になれないのか

現・立憲民主党議員の小川純也氏を10年以上にわたり追ったドキュメンタリー。20代の若い頃から、子供も成長しておっさんになった今までの変化が見れるのも興味深い。よくこんな長い間追えたなと関心。しかし、これは実は人を追っているように見えて、その背後にある構造(まさにタイトルが示すような)をあぶりだそうとしている、そっちがメインの話と読みました。とはいえ、クライマックスの、民進党が希望の党に合流するにあたって、希望の党の公認をもらうかですごく悩んでいるあたりが、チラ裏見ているようでそこが必見ポイントだったりはするんだが。

はりぼて

2016年に富山市議会で起きた政務活動費の不正受給問題を追求したドキュメント。きっかけは、唐突に市議会議員の報酬引き上げ案が議会に提出され、通ったこと。富山といえば、自民党員の割合が日本一、とうぜん 議会も自民党が多数支配という保守王国。そんな議会だから、自分たちの報酬なんて上げ放題。提案する議会のドンは、「政務活動費だけではやっていけないから…」と言うが、じゃあその政務活動費ってどう使われてるの?と地方テレビのキャスターや記者が調べはじめたというのがきっかけ。ところが調べてみると、計上されている報告会が開催されていないらしい、ばかりか、その印刷代の枚数も会場の広さに比べ異様に多い。しかも、どうやら白紙で領収書を出してもらっているらしい…

というところをどんどん追及していくと、出るわ出るわ、そのドンは不正が発覚して謝罪、すると次は市議会議長、議長がやめてその後任の議長、と、次から次へ後任が出てきては不正で辞職…このたたみっけぶりに、「またかい!」と最初は笑っていたが、実はこれ、どんな地方議会でも起きている問題な訳で…でも、今回はたまたま熱心な記者が取材してくれたおかげでここまで明るみに出たけど、そうでなかったらと思うとゾっとするし、まだまだいろんなところでこうだと思うと更にソっとする。原因は、有権者によるチェックと選挙による洗礼が正しく機能していないからで、明らかに責任の一端はそういったことに無関心な我々にある。でもなあ。メディアが伝える手段がなかったり、権力のチェックとして働いてくれないとこれもきつい。どうしたもんかね。

mid 90’s

スケートボード映画。鑑賞後に知ったが、出演者もプロのスケーターで、最初滑れない主人公を演じていたSunny Suljic(日本では「スリッチ」表記だがサルジックという発音が正確らしい)君ももちろん滑れる。映画館にもスケボー持った人が結構いた。スケボーシーンを見に来たのかな。

この映画、そのスケボーやらそのバックグラウンドになっている音楽だったり(ラッパーの宇多丸氏がノリノリで解説)好きな人にはたまらないんだろうが、それを除いても、見るべきものはある。これは、先日紹介したブックスマートに出ていたビーニーの兄ジョナ・ヒルの体験を基に作られたんだそうだが、疑似ファミリー的なグループと、そのメンバーについていこうとするSunnyやルービン達。でも彼らの行動には確固なるポリシーがある訳でも、正しい訳でもない。それでも…という、地味に響くテーマだった。あとSunny君の演技がいいと思う。

ブックスマート

もう結構いい歳だし、青春時代になにもいい思い出もないし、あこがれも別にない。だから青春映画と聞いても見に行く気ゼロなのだが、「スーパーバッド童貞ウォーズ」の女性版と聞いて、鑑賞する気になった。そんなハードル下げまくったせいか、単に視点を変えただけではない、現代のLGBTもさりげなくとりいれつつ、しっかり女性視点から描いた、これまでにない、しかも笑える映画ができた。観てよかった。特に、「スーパーバッド」のジョナヒルの妹である、ビーニー・フェルドスタインの顔芸で笑わせるところがよかった。

TENET

最近観た映画が溜まってきている。どれから行こうか迷ったがやっぱこれかな。

TENETは2回観た。最初は爆睡してしまったのもあるが、分けが分からず…2度めは、かなり注意して見たので、ようやく内容を理解。だが寝なかったとしても理解していたかはあやしい。理解すると、今度はそれを確かめたくて、実はもう1回観たかったりする。このリピータービジネスっていいよな~

私は「メメント」や「インセプション」が生涯ベスト映画の上位にくることもあり、かなりノーラン好きだと思う。で、このTENETだが、どうも、科学的に変なとこばかり目に入ってしまうので、劇中でも、「Don’t think feeeel!」とブルースリーみたいな台詞を登場人物がのたまうのだが、どうも私は修行が足りないようである。

まあ、絵は好きだな。IMAXにこだわっただけのことはある。