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2017年に観た映画

2017年はこれまでになく映画を観ている。なかなか感想を書く暇がないので、まとめてやろうと思う。ちなみに今年はまだ、ブレードランナー2049、ゲットアウト、ジャスティスリーグなどを鑑賞予定である。

なんとなく、上位から順に。ちなみに、まだ暫定1位はメッセージである。

  • 女神の見えざる手
    あまり期待しないで観たら、すごくよかった。これは同じジェシカ・チャスティンが主演した「ゼロ・ダーク・サーティ」もそうだが、決して主人公は善人として描かれていない。主人公は銃規制を実現するため、今までの会社を辞めて目的のためにつき進むという、正義のレジスタンス的設定をもらっておきながら、なまじ優秀なロビイストなだけに、やることが卑劣。時には味方をもだまし、利用する。ついには仲間や上司にも見放されてしまう。相手側に反撃され、聴聞会で追い詰められた彼女の運命は…という展開は、大逆転であればカタルシスのある結末なのだが、これまでに罪を山ほど背負ってしまっているだけに、爽快ではない。爽快ではないが、逆にそれが重みをもって我々に感動を生む。
  • ワンダーウーマン
    これは、ガル・ガドットの起用で半分くらい成功している。とにかくたたずまいがいいし、アクションも決まっていて、ヒロインといいうよりヒーローにふさわしい。この映画で前半の少女時代が長くて退屈だとか、最後の戦いが、途中の「ノーマンズランド」に比べると弱いなどの批評があったが、私はそうは感じなかった。生い立ちの部分は後の展開を考慮すると必要だし、クライマックスは、あれはちょっとマトリックスだかドラゴンボールになってしまっているのは確かだが、まあやむをえないところ。ノーマンズランドの場面は文句なしにすばらしい。キャラクターで印象に残ったのは、ドイツの兵器開発者のマル博士。
    これは女性解放がテーマになっているということで、ワンダーウーマンは文字通り強いし、パートナーの方はそれを支える形になっている。観客はカップルが多かったが、わかって見に来てるんだろうか。ぜひ感想を聞いてみたい
  • ダンケルク
    これは…やはり戦争映画というよりホラーだ。予告編は実によくできていた。船にぎっしり詰めこまれた兵士たちが、爆音にいっせいにふりむく部分。めちゃ怖い。その後も船内に閉じこめられて、外から撃たれたりなど…怖すぎて、2回は観れそうにない。
  • アトミックブロンド
    これは…シャーリーズ・セロンのキャラクターあっての映画だなあ。キャラクター映画として楽しませてもらった。しかし続編はありうるのか?あとは80年代の音楽がなつかしい。
  • 猿の惑星 聖戦記
    シーザーものの完結編。結末はある程度予想できる。これは、シーザー、いや、アンディ・サーキスの表情を楽しむ映画だなあ。あと、適役の猿の演技もよかった。これで終わりかと思うと少しさびしい。アンディ・サーキスにはアカデミー主演男優賞をとってほしいな。
  • ドリーム
    「Hidden Figures」が改題されて。昔黒人や女性差別がこんなにひどかった、という話だが、才能があるのに生かされないのがいかにおろかか、というテーマをつきつめると、唯才主義になるんだな。まあアメリカ的にはそれが正しいのだろうが。あまりこの辺がしめっぽかったり悲惨にならないのはよかった。まっとうなつくり。
  • キングコング 髑髏島の巨神
    キングコングにはあまり思い入れがないのだが、3Dとして楽しめた。あとはサミュエル・L・ジャクソン。早くゴジラとの対決が見たいな。
  • ELLE
    ポール・バーホーベンの新作。なんだか変な映画だった。自宅でレイプされた女性がその後とる行動が物語の最後までおかしく、つかみきれない。でもこれはコメディーなんですよね。ところどころ笑える箇所はあった。車をぶつけて駐車スペースを確保するところとか。
  • エイリアン・コヴェナント
    リドリースコットの手によるエイリアン最新作ということで。監督は「オリジナル越えた!」と言ってたが、怖さや物語としては、第1作は越えてないな…今回の結末は、途中からなんとなく客に予想させて、最後で「やっぱり…」という感じ。まああのキャラは嫌いではないが。
  • ローガン
    映画館で観るつもりはなかったが、飛行機で観ることができた。ヒーローものが終わる時の禁じ手のような形。まあまあ面白い。
  • スノーデン
    あのスノーデンを、事件の前の従軍の頃から追って人物像を浮き彫りにするという趣向。まあ、オリヴァー・ストーンらしいなと思った。最後のトリックは実話ではないらしいが、映画の仕掛けとしてはあり。
  • 22年目の告白ー私が犯人ですー
    うーん。なんだろうな。あまり意外性を感じられなかった。それがウリなんだろうけど。藤原竜也がやっちゃうからかな。
  • パワーレンジャー
    うーん。特撮ヒーローの第1話を2時間ちかくにひきのばして見せられた感じ。特撮シーンをいっぱい期待する向きには、おすすめできない。

 

4DX初体験

私は4DXが好きではないので、今まで誘われでもしない限り自分から行くことはなかった。座席が動くとか水が出るとかなにその子供だまし?と思っていたし、本編鑑賞の邪魔でしかないと思っていたし、そんなことのために高い料金を払うのはアホらしいと思っていた。若い子らがテーマパークのアトラクション的に使うならまだしも、この年でデビューはきついだろ。

ところが、ひょんなことでその「誘われ」イベントが発生し、4DX初体験をすることになった。ちなみに見た映画は、「魔法少女リリカルなのは」。知らない方のために一言で説明すると、女の子向けの皮をかぶった大きいお友達向けアニメである。どんな風に大きいお友達向けかというと、変身シーンで幼女が意味もなく裸になったり、女の子同士のホモソーシャルな関係が描かれたり、魔法少女なのに武器でガチ戦闘する、といった具合である。繰り返すが、誘われたので私のチョイスではない。ショタではあってもロリでない私が自ら選択するはずもないのである。

で、4DXですが、本編の前の4DXのデモンストレーションからしれもういきなり「こりゃダメだ」と思った。椅子からずり落ちてしまいそうなほど動きがはげしい。しかも予想してた以上に水が顔や腕にかかる。思わずシートベルトを探してしまったほどである。

本編が始まったで、こっちも4DXの動きの違和感でなかなか話に没入できない。激しい動きのもそうなのだが、変なところで無駄に動いたりするのだ。例えば、景色が上から下にパンしていく(カメラが移動していく)だけで、席もそれに合わせて微妙に下を向いたり、あるキャラを下からアオリで撮ると、今度は上を向いたりする。これには思わず「こんなとこまで使うんかい!」と笑ってしまった。しかしさすがに時間が経つにつれて慣れてくると、ちょっと動きを楽しめるようになってきた。クライマックスの戦闘ではだいぶふりまわされたが、この頃にはだいぶなじんでいた。ただ水はなあ…こんなにたくさんはいらないよ。おあつらえ向きにこの映画、やたら水上での戦闘やら、雨やら、水に飛びこんだりするシーン続出するのだ。ある意味4DX向きとも言えるのだが。

で、肝心の映画の中身の方は…この映画はTVシリーズを2010年に映画化したものだそうだが、若干の切り詰め感はあるもののおおむねよくまとまっているし、退屈するところはそんなにない。また、作画も映画化にあたり全面書き直したそうで、やたら気合が入ってるのが伝わってきた。結論から言うと、内容と4DXを含めて、悪くなかった。クライマックスを含め、やや主人公であるなのはの影が薄い気がしたのはご愛嬌か。ちなみに主人公なのはの声をあてているのが田村ゆかり、もう一方のフェイトという主要キャラの声をあてているのが水樹奈々、歌も田村ゆかりが1曲(エンディングテーマ)、水樹奈々が2曲(主題歌、挿入歌)となっている。それにしてもエンディングテーマと主題歌の違いってなんやねん!?どちらも映画の終わりに流れるのだが、「エンディングテーマ」が本編とともに流れた後で、エンドロール付きで「主題歌」が流れる。色々な大人の配慮を想像させてくれる映画となっております。

メッセージ

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。

この映画は去年、トロント映画祭の時に町山智浩さんが激賞していて、上映が始まってからもあちこちでいい評価が上がっているので、かなり期待値が上がっていた。あまりハードルが上がりすぎて、見たらがっかりするのではないかと不安になるほど。しかし、結果は杞憂。大感動、というほどではないが、終わった後の余韻がじわじわ効いてくる、そんな感じ。

内容について分かりにくいと言われていたり、2度見た方がいいと言われていたが、少なくとも私は1度見ただけでほぼ完全に理解したし、1度見ている中で、前のシーンのふりかえりができて、「あーそうだったのか」と納得したりしたので、特に2度見するまでもないと勝手に思っている。もちろん、最初から全貌が見えていた訳ではないので、この映画の見どころの一つである、謎解きのところは正しく楽しめた。(ここは後で少し補足したい)

また、この映画の成功のもう一つの要素はやはり絵づくり。主人公の自宅や、ばかうけ宇宙船の周辺や内部、宇宙人のくりだす表意文字の面白さなど。まあ、中には宇宙人の造形(今さらタコ型?)など若干ベタと思えるのもあっったが。

では、次にネタバレを交じえて。

私が最初混乱したのは、エイミー、アダムスの回想シーンだ。混乱のポイントは、回想シーンというと、それが過去時制だと思ってしまうことだ。しかし、途中で宇宙人には時制の概念がないなどのヒントが出てくるので、軌道修正の結果、正解に辿りつくことができた。正解を見つけてしまえば、この物語はそんなに難しいことはないと思う。

この映画で唯一不満と言える(上に述べたプラスポイントに比べるとあくまでも些事)のは、結末への持っていきかたがややご都合主義な点。まあこれは映画の尺の都合上、やむをえないのかもしれないが。ちょっとパラドックスな部分はおいておくとしても、こう思ってしまうのだ。この映画においては未来は決定的であり、であるからこそ結末の主人公のせつなさが効いてくるのだが、逆にいうと何をしてもどう抗っても運命が変わなないのなら、主人公が積極的に行動してシャン大将(だっけ)に電話しなかったとしても、結局戦争は回避されていたということにならないか?

シン・ゴジラ

ゴジラが(ふたたび)ハリウッドの手にわたり、レジェンダリー版の成功を見てしまっては、もう邦画でどうがんばろうと、あっちに太刀打ちできる作品ができるはずないという思いがあった。

結果、見事に裏切られた。まず、コンセプトの勝利。1点豪華というか、1点突破主義?かつての(2作目以降の)ゴジラシリーズもそうだし、レジェンダリー版もそうだが、エンターテイメントとして成立させるために、様々なドラマやアイテムを入れこむ。見る側のこっちも半ばあきらめ?て見ているフシがある。どうせプロデューサーにあれ入れろこれ入れろ言われるんでしょ?みたいな。ところがこのシン・ゴジラ、すがすがしいほどに余分なものがない。ゴジラが作られた時、誰が政府のゴジラ対策本部だけでドラマを回そうと考えたかね。そんなものが面白くなるなんて、誰も想像つかなかったよな。そういう意味では、これを許したプロデューサーが偉いといえるのか。

ゴジラの造形自体もいい。最初の登場が「あれ?何これゴジラ?別の怪獣?と思わせるところ。うまい。完全形態になると普通になっちゃうんだけどね。

特撮も、蒲田や武蔵小杉(丸子橋破壊!)など、マニアックなチョイス(私にはなじみ深い場所)もいい。ただ、樋口真嗣監督というと、どうしても彼が特技監督を担当した「ガメラ三部作」と比較してしまうが、あっちでの人の死にっぷりと比較すると、こっちのゴジラでは驚くほど人が死なない(画面の前で)。これは監督の違いか。

8/19補足
唯一の不満点、あの石原さとみが演じているキャラが過剰すぎた。アニメキャラっぽくて、あの場の雰囲気とあまり馴染まないと思った。