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トゥームレイダー・ファーストミッション

トゥームレイダーのリブート。
前シリーズは当時わりと好きだったのだが、こうして新作の鑑賞後では、あれはなんだったのか感満載になってしまうのを止められない。ゲームの世界観とかの再現性では、圧倒的にこちらの方が上。遺産の話とか、冒険に出るまでも、本作の方が自然。
話も手堅くまとめてある。ここまでは、褒め言葉。しかし、この作品には致命的な欠点が…
絵が暗すぎるのだ!暗所のシーンではほとんど何も見えない!戦闘もなんかやってるぽいまでしか。他のところはよくできていただけに残念だ。

ブラックパンサー

2度見に行った。面白かったからではなく、初回の時は半分以上寝てしまったから。
2度めは、なんとかほぼ落ちずにすんだので、ようやく流れを把握。なにしろ、初回の時は、最後で「なんでブラックパンサーが二人いてたたかってるの????」だったからだ。
しかし、その印象はまんざら間違いではない。それは、二人の衣装が似通っているからだけではなく、この映画では、あえて「正義対悪」の構図は薄くして、ヴィラン側のキルモンガーにもそれなりの大義を与えているからだ。これは、言うなれば「X-MEN」のプロフェッサーXとマグニートーの関係に似ている。
それ自体は悪くないのだが、アクションとしての盛り上りはわりと中盤のカーチェイスあたりにあったのではないか。終盤でCG使いまくりだとなんだか、ワンダーウーマンとかザックスナイダー的だ。
それ以外では、脇を固める強いお姉さんたちはもちろん、地面が割れて、滝ができた後に人々が出現するあたりの映像はなかなかよかった。

コクソン/お嬢さん

韓国映画はあまり見ない方だが、この2つは気になっていたので、親不知で入院の際にまとめて鑑賞。
コクソンの方は、監督のふりまわしにすっかり幻惑され、1回観ただけではちょっと分からなかった。國村準が何者で、誰が正しいのか、というあたり。この辺は後で解説を聞いて、ああそうかと。ちょっとダマされたけど、そんなに気分は悪くないような。悪魔が憑依したような女の子の演技は、まあエクソシストなんかのパターンなんだろうけど、こわかった。

「お嬢さん」の方だが、これはねえ…。近い話をどっかで観たような気がするが、必要以上にエロい、そしてどんでん返しといえば、思い出すのは「ワイルドシングス」か。しかしこっちはもっとアジア的にねっとりしている。構成もワイルドシングスよりは迷走せず、こちらの方がずっといい。気になるといえば、主人公たちの使う変な日本語くらい。

シェイプ・オブ・ウォーター

この作品はアカデミー賞発表前になんとか時間を作って鑑賞して、スリー・ビルボードと争っていた作品賞予想をここに書こうと思っていたのだが、すっかり機を逸した。私はシェイプ・オブ・ウォーターに軍配を挙げた訳だが、今となっては後出しじゃんけんでしかない。
私がシェイプ・オブ・ウォーターを作品賞に挙げる理由は美しい絵と音楽のマッチング。そして、「好きになれる作品」ということ。
話については、スリー・ビルボードのような意外性はない。ラストにしても、どこかである話とも言える。下敷きになっているのは「人魚姫」だろうし、全体としては「E.T.」に近いと思った。、悪役がなんかもっさりしているので少々いらいらするが、そんなのは些細な要素にすぎない。

この話に関連して、先日町山智浩さんの映画塾を聴きに行った時に衝撃の事実が発覚した。(この先デタバレ注意)
映画塾のネタは「ラ・ラ・ランド」「ムーンライト」だったのだが、最後にアカデミー賞関連の質問コーナーがあって、質問者が「イライザの首の傷みたいなのは結局なんだったのか」と訊いたら、町山さんが「それは○○だからだよ!」ガーン!そうだったのか。私も、質問者と同じく、最後○○がでてきたのは、半魚人の力のせいと思っていた。イライザが口がきけないこととか、すべてつなぎあわせればわかるはずなのに…

スリー・ビルボード

観てまったく予想のつかない展開に驚く。そして、描かれる暴力、そして差別の匂いでなんとなく嫌な感じになる。しかし、差別と暴力と復讐にまみれているうちに、彼らは互いに赦し、赦されるようになる。不思議な映画だ。暴力暴力といってるが、実は随所に笑えるところがある。なので少し救われているところがあるのかも。

主演のフランシス・マクドーマンドは、「ファーゴ」の妊婦の警官役の人。あの時のやわらかい印象とは真逆のキャラクターを演じている。まさにアカデミー主演女優賞ものだ。あと、「ゲーム・オブ・スローンズ」ファンとしては、ピーター・ディンクレイジが出ているのも嬉しい。これまた、野望に燃えるティリオンとはまったく違う役。

デトロイト

キャスリーン・ビグロー監督の作品は、あまり見てない。「ゼロ・ダーク・サーティ」はなんとなく流し見で、「ビンラディン暗殺」程度の浅い理解にとどまっている。「ハートロッカー」は見てない。そんな私が最新作の「デトロイト」を鑑賞。
一言で言うと、怖いにつきる。絶対的優位の権力を持つものが敵にまわってしまった場合の恐怖。これが2時間もひたすら続く。エンディングも含めて、救いのない映画。後味わる。
出だしの、白人警官の事件での行動に至る経緯が簡単に描かれる。この描写は、双方に公平な立場でという挿入ではなく、普通の人間でも、このような暴力的な人間になれるという、恐怖をアクセラレートしるための仕掛けだと思う。その警官が、ガチムチのレイシスト然ではなく、普通のおとなしめの風貌なのも、リアルさを強調している。

全員死刑

一部で激賞されているので、東京で公開終了ギリギリに鑑賞。
実際にあった連続殺人を元にしているそうだが、このネタで完全に笑わせにかかっており、それが面白い。また、変なところで変なBGMをかけたり、ものすごく変。だが、面白い。カメラワークなどもすごく凝っている。そして面白い。今年最高とまでは、おそらくいかないだろうが、そこそこ。

ところで、今回鑑賞したのは、アップリンク渋谷というところ。最前列が空いていたのでその席を購入したところ、座椅子席だった。。若干見にくい。

2017年映画ベスト

観た映画も出揃ったので、ベストを決めてみようと思う

・作品賞:「メッセージ」
・主演男優賞:マイケル・ファズベンダー「エイリアン・コヴェナント」アンディ・サーキス「猿の惑星 聖戦記」
・主演女優賞:シャーリーズ・セロン「アトミック・ブロンド」
・助演男優賞:アダム・ドライヴァー「スターウォーズ 最後のジェダイ」
・助演女優賞:ベティ・ガブリエル「ゲットアウト」
・脚本賞:「女神の見えざる手」
・撮影賞:「メッセージ」
・音楽賞:「アトミック・ブロンド」

ベストを上から並べるとこんな感じ。

  • メッセージ
  • 女神の見えざる手
  • ワンダーウーマン
  • スターウォーズ 最後のジェダイ
  • ゲット・アウト
  • ダンケルク
  • ゲット・アウト
  • アトミック・ブロンド
  • 猿の惑星 聖戦記
  • ドリーム

スターウォーズ 最後のジェダイ

ネタバレ満載ですのでごチューイください。

この作品、アメリカでは評価が真っ二つに分かれているんだそうだ。映画評論家は軒並みいい評価なのに対し、一般のスターウォーズ(SW)ファンは激怒しているとか。私がウォッチしているだけでも、岡田斗司夫氏は絶賛、町山智浩氏が一定の評価、一方、ライムスター宇多丸氏はケチョンケチョン、高橋ヨシキ氏は映画秘宝の批評記事が完全ホメ殺し状態と、まさに真っ二つ。私はというと、SWは好きだが、そこまでの思い入れはないんだな。だからか、この映画については相当肯定派である。7以降でいうと、8>ローグワン>7ぐらいである。

私がスターウォーズの何を評価するかというと、第一には「戦争映画」としてワクワクさせてくれることである。特に宇宙戦の部分。爆撃機の使い方(すぐやられるけど、爆撃に成功すると効果が絶大、とか)などは非常にうまいし、戦闘機でキャノンをまず狙わせるところも、後でちゃんと回収しているのがいい。

ストーリーが全然進まない件については…さほど気にならなかったな。やはりこれを「サーガ」として観るかどうかで、サーガとしてはたぶん失格なんだろうが、私はその辺気にならないのでどうでもよかった。456のエピソードを彩った役者達が次々と退場していく一方で、新しい「名もない人々」が台頭していくという、世代交代が本作のテーマになっていると思うが、その点は大いに評価したい。いろいろ言われているフォースの使い方にしてもそうだ。最後の大ネタを筆頭に、これもプラス評価。

それから、キャラクターもいい。レンは最初はまったく地味な登場で「大丈夫か!?」と思わせるが、すべては後の成長のための布石。最後はカッコいい勇姿を見せてくれる。前作ではまだ目立っていなかったフィン君もすごくいい。彼の相棒をつとめるローズもいい。しかし今回のベストキャラはカイロ・レン。EP7ではただのヘナチョコ野郎だったのが、本作では非常に深みのある人物像にしあがっていた。やはりマスクが悪かったのか?あまりにも評判がよくなかったからか、作中の冒頭で本人に破壊させているが、正解だったかも…

コメディー化していることに対する批判(宇多丸師匠)もあったが、これもサーガにとらわれすぎた人の意見と思う。私は笑わせるシーンにはまったく違和感を感じなかった。面白かったよ。

意外だったのは、レイア役キャリー・フィッシャーの急逝で、ストーリーが変わるのではという予想が外れたこと。ルークではなく、レイアが先に退場するのではという予想だったが、レイアはバッチリ生き残った。たぶん、これが最初の筋書き通りなんだろう。しかし次回作はどうするのか。またローグワンみたいにするんだろうか。

本作はおおむね評価したいが、細かい点で気になることもある。先ほど戦闘シーンのことを挙げたが、戦争と局地戦は違う訳で…映画では局地戦しか出てないのに、あたかもここで戦争のすべてが決まるかのような展開というのはどうなんだ。最後のとことか、カイロ・レンがわざわざ出向いていく必要があったのか。部下にまかせておけばいいのに、自分がでしゃばらざるをえない、宮崎駿みたいな性分なのか!?と思った。

続・2017年に観た映画

その後、ブレードランナー2049とゲット・アウトを観たので追加。

  • ブレードランナー2049
    確か、109シネマズ木場で鑑賞。
    映画館に行ったらオリジナルブレードランナー世代のおっさんばかりだった。これは、「続編として評価されることを宿命づけられた作品」で、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴも分かっていてよく引き受けたなと。私も立場的には似たりよったりっだが、ここにいる他の人達ほどはブレードランナーに熱狂してはいない。みんながやたらほめるから観てみたが、どうもピンとこなかったクチである(もっとも、先日本作の公開に合わせて前作が放送されていたので観てみた。確かにあのミニチュアの町の絵はすごいと思った。これに太刀打ちするのはかなりハードル高いだろう)。なので、私の方が彼等よりは本作にニュートラルな評価をできるのではないかと思うが。
    絵づくりの上では、2049もがんばっている。メッセージでも発揮されたが、この監督の絵は好きだ。これだけでも観る価値がある。ストーリーの方は、せつない。この終わり方はこの終わり方でいい。岡田斗司夫氏がニコ生で、2049の改善点としてキャラをわかりやすく、ハッピーエンドにする、ヴァンゲリズの音楽使うの3点を挙げていたが、私は賛成しない。主人公Kのキャラクターは、警察での立場から帰宅しての、AIしか愛する相手がいないという境遇、更にそこから夢を見て、自分のルーツを探しに行くという動機付けは十分にできていると思う。だからハッピーエンドなんてとんでもない。あれはあの終わりしかない。2017年映画では本作は少なくともエイリアン・コヴェナントよりは上に置きたいね。
  • ゲット・アウト
    これは観た人みんなが「面白かった」と言ってる映画で、予告や事前情報からすると、ハードル上がりまくりなのだが、確かに面白かった。一見南部の白人ばかりの社会に放りこまれた黒人という構図を見せておいて、実はその裏に仕掛けを隠しておくという、二重構造。それから、役者の演技がみな怖い。特に、メイド役の人のはりついた笑顔。トラウマになりそう。後半から主人公が受け身から能動的に変貌するのも、かなり驚き。サプライズという意味では今年一番。面白かった。