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アクアマン

今どき例を見ないどストレートの貴種流離譚だった。それ以上でもそれ以下でもない。ストーリー的には何ひとつ予想外のものはない。が、それへのキャラクターやアクションの味付けがうまいので、普通に面白く観られる。そんな映画。ちょっとびっくりしたのは、冒頭で主人公アーサーの母親が出てくるのだが、若作りで誰だかわからんかった…ニコールキッドマン。ところがこのニコールが大活躍なんだな。主人公と恋人役のいいシーンもあるのだが、基本は、父親、兄貴も含む家族の方がメインの話に思える。同じ貴種流離譚をベースにしたスターウォーズと同様、家族内戦争。

サスペリア

実はダリオ・アルジェント版も観ていなければ、ルカ・グァダニーノの前作「君の名前で僕を呼んで」も未見。そういえばやたら女子率が高かったのは、レディースデイということだけでなく、前作のせいか?まあホラーがもともとそんな好きでない私だが、それでも見に行こうと思ったのは、この作品について評価が真っ二つだとか、アルジェント監督が激怒してるとか、逆にタランティーノが絶賛してるとか聞いて、がぜん興味が湧いた。とにかく何か新しいものが観れるのじゃないかと。

鑑賞して…そうだな、期待していた何か新しいものが観れて満足。もちろん、観てよく分からないところがあり、「ヘレディタリー/継承」同様、再鑑賞したい作品である。最初、人間関係をつかむのに苦労。最初にクレンペラー博士を訪れたのは誰?(パトリシア)とか、田舎みたいなとこに寝てる女の人は誰?(スージーの母親?)とか。しかも、登場人物が嘘までつくから始末が悪い(ミセス・ブランって誰?と思っている時に、本人でない人間が「私がブランです」と宣言)。

物語の主要な部分であるダンス(ノイエ・タンツ)については、非情によかった。ここだけでも何度も鑑賞したい。

アントマン&ワスプ

なんと、前作「アントマン」を観てない状態での鑑賞。だから、設定等分からないところは多少ある。が、それはあまり気にしなくてもいいようになっている。わりと軽めの内容で、面白く観れた。最後は、ちゃんと「アヴェンジャーズ:インフィニティウォー」につながるようになっている。

魔法少女リリカルなのは DETONATION

前後編の後編。鑑賞してみて思ったのは、「これは前編いらん…」というもの。多すぎる登場人物たちの整理をつけるだけで精一杯になってしまった前編と違い、後半はちゃんとストーリーが動いているし、それで人物関係もちゃんと把握できる。盛り上がりもある。前編の内容については、今作の冒頭で紹介されるダイジェクトで十分。

ファインディング・ドリー

確か、機内鑑賞。映画館で鑑賞までのモチベーションはなかったということだが、可もなく不可もなくという出来ではあったかと思う。というか、「自分探しの旅」としては十分楽しめたので、「可」といってもいい。いらんかったのは、やたら館内に八代亜紀のアナウンスが入ること。こんなサービスは別にどうでもいいというか邪魔。

ヘレディタリー/継承

例によってネタバレ注意。

1度鑑賞したが、どうも不明な点が多く、もう一度観てみたい気もする。だからこの感想は仮のものととらえてください。

この作品、途中までは文句なしに怖い。何が怖いのかというと、母親。こいつの実の息子に対するむきだしの憎悪や、狂気がなんとも…その狂気がゆえに、「信頼できない語り手」と化し、彼女が目撃している映像も、「これ本当に起きてんの?」と疑ってしまう。しかし現実であっても虚構であっても、むしろそれが着地しない不安定さゆえにか、怖い。

一方、結末はちょっと日本人には、「えーあーそうですか」という若干の脱力感を誘う。

仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER

子供と一緒に鑑賞。(例によってネタバレあり)。そうねえ。これが平成ライダーくくりで撮れる最後のチャンスなのだな。

子供は今期から仮面ライダー(ジオウ)を見ている。この作品そのものが、過去のライダーとの関わりを描く都合上、過去のライダーも登場するのだが、今回の映画はなんと平成ライダーが勢揃い。私は昭和はある程度馴染みがあるが平成はさっぱり。子供は1時間を越える映画を観るのははじめて。

そんな不安だらけで観始めた映画であったが、結果としてはよかった。子供が最後まで席を立たずに観てくれたのはもちろん、ストーリーもある程度までは理解。「かなしいはなしだったね」とのこと。この話、子供向けとしては大胆にも、「仮面ライダーが架空の(TV上の)存在だった」というメタな設定を持ってきた。子供によっては、夢を壊されるのではないかという懸念もあるだろうに。わりと勇気のある設定だと思う。もちろん、最後には、「架空だったとしても、それはそれを信じる人がいれば実在する」というところに落としていくのだが。

あとは、キャラクター総出演問題。アベンジャーズを越える?キャラクターそれぞれに見せ場をチュクらないといけないが、さすがにある程度メインで活動するキャラは絞っておいて、最後のラスボス戦では全部見せ場を作る。インフィニティーウォーには敵わないかもしれないが、そこそこがんばっていたし、クライマックスのアクションは十分見応えがあった。

ジュラシック・ワールド/炎の王国

例によってネタバレ満載です。

ジュラシックシリーズの映画を映画館で観るのは初めて。予告編が、火山が噴火して恐竜が逃げて、ああ、恐竜どうなる!?って引きで終わっていて。その流れで映画を期待すると、その部分は前半の前半で終わってしまい、後はなんと、密室劇が繰り広げられる。館ものですよあなた。アガサクリスティか。前半の、ダイナミックな舞台に比べると、スケール小さいで。ちょっと私はそれががっかり。

ハン・ソロ スターウォーズ・ストーリー

これは、イタリアに行く機中で鑑賞。ということは、もともと映画に対する期待値はあまり高くなかったことを意味する。そして帰りの時には、何を見たのかすっかり忘れてしまっていた。つまり、印象に残らなかったとうことだ。かといって、すごくつまらなかったり、ひどかったりしたらそれはそれで記憶に残るはずだから、私には毒にも薬にもならなかった、ということだろう。

まあ、もともと私はスターウォーズ自体は嫌いではないがそれほど熱心な信者でもなく、その中でもハンソロというキャラクターはどうでもいい部類に属する。ハンソロやチューバッカ萌えなら楽しめるのだろうが。何が悪いというより、ほんとにとんがったところがない。すべてが予測範囲内。唯一よかったといえば、「ゲーム・オブ・スローンズ」に出ているエミリア・クラークちゃんが出てることぐらいか。彼女は存在感があった。でもそれだけ。

華氏119

昔、レイ・ブラッドベリの「華氏451」という小説があり、それにあやかって作られた映画がマイケル・ムーアの「華氏911」(ナインイレブン)。今回はトランプが大統領に選出された日付(11/9)に置きかえて「華氏119」。整理しておかないとなんだか分からなくなる。

この映画は、要するにトランプがなぜ選出されることになったのか。それはどういう意味を持ち、今後どのような事態が想定されるかということを言いたいのだと解釈。それに、ミシガン州の水汚染問題を副テーマのように絡め、話もあっちにいったりこっちに来たりするので、やや散漫な印象。最も、この水汚染の話などは日本にはほとんど伝わってこないので、貴重な情報ではある。が、まとまりとしてなら、「世界侵略のススメ」の方がよかった。要するに最も主張すべきは、「みんな政治に絶望せず投票に行こう。行けば本来の多数派の意見は反映される」ということで、それは作品の中盤あたりで言ってしまっており、あとは蛇足みたいなもん。トランプをヒトラーに重ねあわてたくなる気持も分からないではないが。

今回、よかった、というかやはり上手いと思ったのは、みんなをその気にさせる演出だ。特に導入部。選挙戦前夜から当日にかけての、ヒラリー陣営の勝利を確信した浮かれっぷり。その後どうなったかを知っている我々はタイムマシンで過去に戻ったが、結果を変えることも、彼らに伝えることもできない虚しさ。「どうしてこうなった?」に観客の感心を誘導するところはさすが。

それから、これが公開されたのは丁度アメリカの中間選挙の直前だった。中間選挙では、民主党に若い、新しい議員たち(特に女性)が誕生した訳だが、マイケル・ムーアは敏感にその動きを嗅ぎつけて紹介している。メインで紹介されたバーニー・サンダース・チルドレンのアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏は見事当選。まあこれは予言というより、後押しというべきか。

それから、例の銃撃事件に絡んで、エマ・ゴンザレスの無言の6分間(映画ではやや編集して短め)が紹介されているが、これはムーアの功績というより彼女の力に負うところが大きい。それでも彼女を中心とした若者たちが、政治を変えられるというパワーを示したことを、映像で見せられたのは、将来への希望につながる終わり方だった。