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スリー・ビルボード

観てまったく予想のつかない展開に驚く。そして、描かれる暴力、そして差別の匂いでなんとなく嫌な感じになる。しかし、差別と暴力と復讐にまみれているうちに、彼らは互いに赦し、赦されるようになる。不思議な映画だ。暴力暴力といってるが、実は随所に笑えるところがある。なので少し救われているところがあるのかも。

主演のフランシス・マクドーマンドは、「ファーゴ」の妊婦の警官役の人。あの時のやわらかい印象とは真逆のキャラクターを演じている。まさにアカデミー主演女優賞ものだ。あと、「ゲーム・オブ・スローンズ」ファンとしては、ピーター・ディンクレイジが出ているのも嬉しい。これまた、野望に燃えるティリオンとはまったく違う役。

インフルエンザ

インフルエンザにかかった。

これまでの人生、確かにインフルエンザっぽかったこともかつて(10年以上前)あったが、その後はあやしい高熱を出しつつ、判定は避けてきた。が、ついにつかまる。A型。あっさり宣告された。6日間出勤自粛。てか、予防接種までやってるのに納得いかないぞ。
2、3日は高熱でそれどこじゃないが、後半は暇だ。暇だが食欲もなく、体力も落ちているのでそう動けるもんじゃない。
子供とはほぼ完全隔離したおかげで、感染はしていないようである。

デトロイト

キャスリーン・ビグロー監督の作品は、あまり見てない。「ゼロ・ダーク・サーティ」はなんとなく流し見で、「ビンラディン暗殺」程度の浅い理解にとどまっている。「ハートロッカー」は見てない。そんな私が最新作の「デトロイト」を鑑賞。
一言で言うと、怖いにつきる。絶対的優位の権力を持つものが敵にまわってしまった場合の恐怖。これが2時間もひたすら続く。エンディングも含めて、救いのない映画。後味わる。
出だしの、白人警官の事件での行動に至る経緯が簡単に描かれる。この描写は、双方に公平な立場でという挿入ではなく、普通の人間でも、このような暴力的な人間になれるという、恐怖をアクセラレートしるための仕掛けだと思う。その警官が、ガチムチのレイシスト然ではなく、普通のおとなしめの風貌なのも、リアルさを強調している。

全員死刑

一部で激賞されているので、東京で公開終了ギリギリに鑑賞。
実際にあった連続殺人を元にしているそうだが、このネタで完全に笑わせにかかっており、それが面白い。また、変なところで変なBGMをかけたり、ものすごく変。だが、面白い。カメラワークなどもすごく凝っている。そして面白い。今年最高とまでは、おそらくいかないだろうが、そこそこ。

ところで、今回鑑賞したのは、アップリンク渋谷というところ。最前列が空いていたのでその席を購入したところ、座椅子席だった。。若干見にくい。

2017年映画ベスト

観た映画も出揃ったので、ベストを決めてみようと思う

・作品賞:「メッセージ」
・主演男優賞:マイケル・ファズベンダー「エイリアン・コヴェナント」アンディ・サーキス「猿の惑星 聖戦記」
・主演女優賞:シャーリーズ・セロン「アトミック・ブロンド」
・助演男優賞:アダム・ドライヴァー「スターウォーズ 最後のジェダイ」
・助演女優賞:ベティ・ガブリエル「ゲットアウト」
・脚本賞:「女神の見えざる手」
・撮影賞:「メッセージ」
・音楽賞:「アトミック・ブロンド」

ベストを上から並べるとこんな感じ。

  • メッセージ
  • 女神の見えざる手
  • ワンダーウーマン
  • スターウォーズ 最後のジェダイ
  • ゲット・アウト
  • ダンケルク
  • ゲット・アウト
  • アトミック・ブロンド
  • 猿の惑星 聖戦記
  • ドリーム

スターウォーズ 最後のジェダイ

ネタバレ満載ですのでごチューイください。

この作品、アメリカでは評価が真っ二つに分かれているんだそうだ。映画評論家は軒並みいい評価なのに対し、一般のスターウォーズ(SW)ファンは激怒しているとか。私がウォッチしているだけでも、岡田斗司夫氏は絶賛、町山智浩氏が一定の評価、一方、ライムスター宇多丸氏はケチョンケチョン、高橋ヨシキ氏は映画秘宝の批評記事が完全ホメ殺し状態と、まさに真っ二つ。私はというと、SWは好きだが、そこまでの思い入れはないんだな。だからか、この映画については相当肯定派である。7以降でいうと、8>ローグワン>7ぐらいである。

私がスターウォーズの何を評価するかというと、第一には「戦争映画」としてワクワクさせてくれることである。特に宇宙戦の部分。爆撃機の使い方(すぐやられるけど、爆撃に成功すると効果が絶大、とか)などは非常にうまいし、戦闘機でキャノンをまず狙わせるところも、後でちゃんと回収しているのがいい。

ストーリーが全然進まない件については…さほど気にならなかったな。やはりこれを「サーガ」として観るかどうかで、サーガとしてはたぶん失格なんだろうが、私はその辺気にならないのでどうでもよかった。456のエピソードを彩った役者達が次々と退場していく一方で、新しい「名もない人々」が台頭していくという、世代交代が本作のテーマになっていると思うが、その点は大いに評価したい。いろいろ言われているフォースの使い方にしてもそうだ。最後の大ネタを筆頭に、これもプラス評価。

それから、キャラクターもいい。レンは最初はまったく地味な登場で「大丈夫か!?」と思わせるが、すべては後の成長のための布石。最後はカッコいい勇姿を見せてくれる。前作ではまだ目立っていなかったフィン君もすごくいい。彼の相棒をつとめるローズもいい。しかし今回のベストキャラはカイロ・レン。EP7ではただのヘナチョコ野郎だったのが、本作では非常に深みのある人物像にしあがっていた。やはりマスクが悪かったのか?あまりにも評判がよくなかったからか、作中の冒頭で本人に破壊させているが、正解だったかも…

コメディー化していることに対する批判(宇多丸師匠)もあったが、これもサーガにとらわれすぎた人の意見と思う。私は笑わせるシーンにはまったく違和感を感じなかった。面白かったよ。

意外だったのは、レイア役キャリー・フィッシャーの急逝で、ストーリーが変わるのではという予想が外れたこと。ルークではなく、レイアが先に退場するのではという予想だったが、レイアはバッチリ生き残った。たぶん、これが最初の筋書き通りなんだろう。しかし次回作はどうするのか。またローグワンみたいにするんだろうか。

本作はおおむね評価したいが、細かい点で気になることもある。先ほど戦闘シーンのことを挙げたが、戦争と局地戦は違う訳で…映画では局地戦しか出てないのに、あたかもここで戦争のすべてが決まるかのような展開というのはどうなんだ。最後のとことか、カイロ・レンがわざわざ出向いていく必要があったのか。部下にまかせておけばいいのに、自分がでしゃばらざるをえない、宮崎駿みたいな性分なのか!?と思った。

J1最終節 川崎-大宮

首位の鹿島と2点ビハインド、得失点差では大きく上回る状況で迎えた最終節のホーム大宮戦、ACLの影響で中2日にもかかわらず同じスタメンでのぞんだフロンターれは意外にもあっさりと開始1分で先制。その後は疲労のせいか大宮に攻めこまれる時間が多かったが、前半終了間際に家長の突破から小林悠のヘッドで2点め。あとでふりかえれば、この追加点が大きかった。後半は切り替えたのか、動きがよくなり、徐々に特典を重ね最後は5-0の圧勝。鹿島が磐田に引き分けたため、川崎のJ1初優勝が決まった…

ここから、どれだけ私の気持が読みとれるか?実は私自身もまだよくわからないのである。これまでの20年にあったことを色々思い返してみれば、憲剛のように号泣していてもおかしくない訳なのだが…最初はよくわからず「え?優勝」のような、喜びより驚きが先に来てるし、じわじわとは来たものの、想定していたのとは違った。確かに、帰宅後Jリーグタイムや試合ビデオなどを見てまたじわじわは来たが、やはり爆発的な感情はないのである。選手もそうかもしれないが、のりこえてしまえば、「そんなに高い山でもなかった」ということなのかもしれない。

まあ、しかし冷静な分析にはなってしまうが、悠のインタビューにあったように、今年の天皇杯決勝、ACL敗退、ルヴァンカップ決勝の敗北も、すべてこの高いハードルをのりこえるために必要な成長のための試練だったとも思えてくる。肝心なところで引き分けてしまうということはあるものの、後半15試合負けずにきたというのは、実はすごいこと、なのだろう。

今のところはこれぐらいしか言えないので、また書きたいことがでてきたら追加していこうと思う。

残酷な神が支配する(萩尾望都)

この作品、20年くらい放置していた作品。当時は連載をおっかけていたのかな?連載でよけいに感じるのだろうが、読み続けるのがつらくてつらくて途中で投げだしてしまい、その後、気にはなっていたものの、手をだしかねていたもの。今回、電子書籍で一気買いして、再挑戦となった。

当時は、何がつらかったのかな?この作品、萩尾師匠が男性同士のセックスを初めてまっ正面からとりあげているのだが、それがもろ児童虐待で、それが延々と続くのが読んでいてつらかったのかな?(ここからネタバレ満載注意)確かに、萩尾師匠の筆致はいやらしく、虐待側のグレッグは同様のテーマを扱っている「風と木の詩」に登場するオーギュストと比肩できないくらい恐しい。しかし、今回読み直してみて、このグレッグの退場は気抜けするほど早い(いや、正確には退場しないのだが)。で、その後は親を殺されたイアンのジェルミに対する疑いと憎悪が延々続く…読んでいた当時はおそらくこの途中でドロップアウトしたと思われるのだが、この解決も実はあっさり、全20巻の半分くらいでつく。しかし物語はそこでグレッグとイアンがくっついてめでたしめでたしのような、素直なハッピーエンドにはならない。うまくいくようで二人はすれ違い、そのたびに死んだはずのグレッグが蘇えり、悪魔のささやきをする。連載で読んでいた方もこの辺がつらかったろうなと思う。やがて物語は決定的な転回点を迎える。ハムステッドの「崖」の場面である。そのシーンはどうやら年末年始の間ずっと見続けている夢らしいのだが、ここがある意味での物語の終着点で、実はその後も、二人はふたたびこの点に戻っていくのだ。決して一般にはハッピーとも思えないのだが、なぜか不思議な落ち着きを感じる。

しかし、物語がここまで長くなったのは、やはり現実の児童虐待の影響、後遺症がこれだけ長びく、ということを作者は示したかったのだろう。それに関しては十分に成功といっていい。

続・2017年に観た映画

その後、ブレードランナー2049とゲット・アウトを観たので追加。

  • ブレードランナー2049
    確か、109シネマズ木場で鑑賞。
    映画館に行ったらオリジナルブレードランナー世代のおっさんばかりだった。これは、「続編として評価されることを宿命づけられた作品」で、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴも分かっていてよく引き受けたなと。私も立場的には似たりよったりっだが、ここにいる他の人達ほどはブレードランナーに熱狂してはいない。みんながやたらほめるから観てみたが、どうもピンとこなかったクチである(もっとも、先日本作の公開に合わせて前作が放送されていたので観てみた。確かにあのミニチュアの町の絵はすごいと思った。これに太刀打ちするのはかなりハードル高いだろう)。なので、私の方が彼等よりは本作にニュートラルな評価をできるのではないかと思うが。
    絵づくりの上では、2049もがんばっている。メッセージでも発揮されたが、この監督の絵は好きだ。これだけでも観る価値がある。ストーリーの方は、せつない。この終わり方はこの終わり方でいい。岡田斗司夫氏がニコ生で、2049の改善点としてキャラをわかりやすく、ハッピーエンドにする、ヴァンゲリズの音楽使うの3点を挙げていたが、私は賛成しない。主人公Kのキャラクターは、警察での立場から帰宅しての、AIしか愛する相手がいないという境遇、更にそこから夢を見て、自分のルーツを探しに行くという動機付けは十分にできていると思う。だからハッピーエンドなんてとんでもない。あれはあの終わりしかない。2017年映画では本作は少なくともエイリアン・コヴェナントよりは上に置きたいね。
  • ゲット・アウト
    これは観た人みんなが「面白かった」と言ってる映画で、予告や事前情報からすると、ハードル上がりまくりなのだが、確かに面白かった。一見南部の白人ばかりの社会に放りこまれた黒人という構図を見せておいて、実はその裏に仕掛けを隠しておくという、二重構造。それから、役者の演技がみな怖い。特に、メイド役の人のはりついた笑顔。トラウマになりそう。後半から主人公が受け身から能動的に変貌するのも、かなり驚き。サプライズという意味では今年一番。面白かった。

2017年に観た映画

2017年はこれまでになく映画を観ている。なかなか感想を書く暇がないので、まとめてやろうと思う。ちなみに今年はまだ、ブレードランナー2049、ゲットアウト、ジャスティスリーグなどを鑑賞予定である。

なんとなく、上位から順に。ちなみに、まだ暫定1位はメッセージである。

  • 女神の見えざる手
    あまり期待しないで観たら、すごくよかった。これは同じジェシカ・チャスティンが主演した「ゼロ・ダーク・サーティ」もそうだが、決して主人公は善人として描かれていない。主人公は銃規制を実現するため、今までの会社を辞めて目的のためにつき進むという、正義のレジスタンス的設定をもらっておきながら、なまじ優秀なロビイストなだけに、やることが卑劣。時には味方をもだまし、利用する。ついには仲間や上司にも見放されてしまう。相手側に反撃され、聴聞会で追い詰められた彼女の運命は…という展開は、大逆転であればカタルシスのある結末なのだが、これまでに罪を山ほど背負ってしまっているだけに、爽快ではない。爽快ではないが、逆にそれが重みをもって我々に感動を生む。
  • ワンダーウーマン
    これは、ガル・ガドットの起用で半分くらい成功している。とにかくたたずまいがいいし、アクションも決まっていて、ヒロインといいうよりヒーローにふさわしい。この映画で前半の少女時代が長くて退屈だとか、最後の戦いが、途中の「ノーマンズランド」に比べると弱いなどの批評があったが、私はそうは感じなかった。生い立ちの部分は後の展開を考慮すると必要だし、クライマックスは、あれはちょっとマトリックスだかドラゴンボールになってしまっているのは確かだが、まあやむをえないところ。ノーマンズランドの場面は文句なしにすばらしい。キャラクターで印象に残ったのは、ドイツの兵器開発者のマル博士。
    これは女性解放がテーマになっているということで、ワンダーウーマンは文字通り強いし、パートナーの方はそれを支える形になっている。観客はカップルが多かったが、わかって見に来てるんだろうか。ぜひ感想を聞いてみたい
  • ダンケルク
    これは…やはり戦争映画というよりホラーだ。予告編は実によくできていた。船にぎっしり詰めこまれた兵士たちが、爆音にいっせいにふりむく部分。めちゃ怖い。その後も船内に閉じこめられて、外から撃たれたりなど…怖すぎて、2回は観れそうにない。
  • アトミックブロンド
    これは…シャーリーズ・セロンのキャラクターあっての映画だなあ。キャラクター映画として楽しませてもらった。しかし続編はありうるのか?あとは80年代の音楽がなつかしい。
  • 猿の惑星 聖戦記
    シーザーものの完結編。結末はある程度予想できる。これは、シーザー、いや、アンディ・サーキスの表情を楽しむ映画だなあ。あと、適役の猿の演技もよかった。これで終わりかと思うと少しさびしい。アンディ・サーキスにはアカデミー主演男優賞をとってほしいな。
  • ドリーム
    「Hidden Figures」が改題されて。昔黒人や女性差別がこんなにひどかった、という話だが、才能があるのに生かされないのがいかにおろかか、というテーマをつきつめると、唯才主義になるんだな。まあアメリカ的にはそれが正しいのだろうが。あまりこの辺がしめっぽかったり悲惨にならないのはよかった。まっとうなつくり。
  • キングコング 髑髏島の巨神
    キングコングにはあまり思い入れがないのだが、3Dとして楽しめた。あとはサミュエル・L・ジャクソン。早くゴジラとの対決が見たいな。
  • ELLE
    ポール・バーホーベンの新作。なんだか変な映画だった。自宅でレイプされた女性がその後とる行動が物語の最後までおかしく、つかみきれない。でもこれはコメディーなんですよね。ところどころ笑える箇所はあった。車をぶつけて駐車スペースを確保するところとか。
  • エイリアン・コヴェナント
    リドリースコットの手によるエイリアン最新作ということで。監督は「オリジナル越えた!」と言ってたが、怖さや物語としては、第1作は越えてないな…今回の結末は、途中からなんとなく客に予想させて、最後で「やっぱり…」という感じ。まああのキャラは嫌いではないが。
  • ローガン
    映画館で観るつもりはなかったが、飛行機で観ることができた。ヒーローものが終わる時の禁じ手のような形。まあまあ面白い。
  • スノーデン
    あのスノーデンを、事件の前の従軍の頃から追って人物像を浮き彫りにするという趣向。まあ、オリヴァー・ストーンらしいなと思った。最後のトリックは実話ではないらしいが、映画の仕掛けとしてはあり。
  • 22年目の告白ー私が犯人ですー
    うーん。なんだろうな。あまり意外性を感じられなかった。それがウリなんだろうけど。藤原竜也がやっちゃうからかな。
  • パワーレンジャー
    うーん。特撮ヒーローの第1話を2時間ちかくにひきのばして見せられた感じ。特撮シーンをいっぱい期待する向きには、おすすめできない。