morota のすべての投稿

映画大好きポンポさん

観る気は特になくスルーの予定だったが、おすすめされたので横浜ブルク13で鑑賞。鑑賞したからには感想を書かせていただく。お覚悟めされ。

この映画、まず、映画そのものが題材ということで、漫画についての漫画、小説についての小説と同様、私の大好きなジャンルである。この題材を選んだだけで、もう成功は約束されたようなものである。そしてその劇中劇の出来がよいほど、そして時々劇中劇と現実が混ざりあう時の化学反応。邪道でありながらもはや王道である。映画の撮り方を一般の者たちにじっくり見せてくれるのもよい。そしてアニメとしての絵作りも見事。

えと、こんなところでいいすか。まあ確かに何も形容詞なしの映画としてであれば、十分に佳作であると思う。これは嘘も偽りもない。いいですか確かに私は褒めましたよ。だがしかし、だがしかしである。この映画には、「映画大好き」という形容詞がついている!シネフィルである!そんな形容詞を付けたらかには、こっちも映画好きとして語らせてもらおうではないか。その果たし状確かに受けとった!

まあ、いろいろ言いたいことはあるわけです。はじめに…私にとって、この映画のほぼ唯一にして最大の欠点、それは、どのキャラクターにも感情移入できないということなんです!

仮に、タイトルについてるポンポさんが主人公と仮定しましょう。でも彼女はパーフェクトすぎるじゃないですか。親は大物でコネも使えるし、ろくに挫折もしない。そのわりに大活躍もないのでどこがすごいか分からない。監督のジーン君や主演女優を見いだしたということでしか見えないのです。まあエンドクレジットのキャストを見たら、ジーン君が先だったのでやはり「神的存在」ではあっても、主人公ではなく名ばかりバカボンなのでしょう。

では、次監督のジーン君です。「目が死んでる」と言われており、でもポンポさんには「そこがいい」と言われてます。そんなバカな!監督になりたいのなら、映画にだけは情熱を燃やす目を持ってるはずでしょう!しかも監督指名を受けてなんで遠慮したりするそぶりをする!ほんとに監督やりたいならとびつくでしょう。そこは主演女優のナタリーもまったく同じ。同じ演技にしてギャグにしてますが。ポンポさんはジーンが死んだ目と言う一方、女優がそれじゃだめと言う。でも二人同じなんですよ。どっちかが嘘ってことですよね。ナタリーのバイトも工事の警備員って何ですかそりゃ。映画好きなのにララランド見てないんすか。女優目指してハリウッドに来る卵なら、みんな喫茶店でバイトして自分を売り込むでしょう。漫画仕様だかアニメに寄せだかで、そんなキャラ付けしてもリアリティがなくなるだけですから。いくらニャリウッドとか言っても、英語でしょ?日本人じゃないからね。

次、アラン君です。ニャリウッド銀行のアラン君です。なんか最後の方で出てきて、(あこの後ネタバレするからね)主人公達を救う立場になる訳ですが、その動機付け、弱い!なんかノート見たからとか、そのぐらい?もう少し前半の方で仕込めたでしょう。唐突だって。原作ではもう少し絡みあるかもしれんが。

あとさあ、この映画、クライマックスが、完全に編集の映画になっちゃってるよね。でも映画好きならご存じ、監督が編集も担当するのは稀で、現にこの映画でも監督と編集別じゃん。編集で映画が変わると言いたいのは分かるが、せっかく映画は多くの人が集まってできるんだから、そこをきちんと描けば傑作になるのにね。結局照明も音響も撮影も完全脇役というか、照明以外ほぼ登場しないよね。これは悲しい。

そもそもこの映画、とっかかりが悪かった。ポンポさん冒頭でいきなり「4時間もある映画はダメ」。私、直前にジャスティスリーグ・ザックスナイダーカットを鑑賞したばかり。微妙~

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

富野由悠季原作(だが監督していない)の映画。三部作の1作めらしい。原作は未読だが、セリフのはしばしからトミノっぽさは十分に感じられる。特にギギ・アンダルシアという女性キャラの美しく狂った感じが非常によい。モビルスーツ戦は夜で、私の見た劇場だともう少しコントラスト高めがよいかなと思ったが許容範囲。絵はすごくよいと思う。次作以降も期待。

ジャスティスリーグ ザック・スナイダー・カット

この映画の欠点を先に言っておこう。

長い

以上である。あとはない。「ザックスナイダー」という形容詞がつくと、色々言いたくなる人がいるのはわかる。せっかくジョスウェドンが入ってうまくまとめたのに、なんでわざわざ梃入れ前のザックの版を4時間もかけて見なきゃならんのか。正直に言おう。私も観る前まではそう思っていた。ザックの「エンジェルウォーズ」はわりと好きだが、DCユニバースの作品は決して好きな方ではない。MCUの方がやはり好みである。そんな私だが、今回意外といい評判ばかりなので、うっかり鑑賞してみた。結果、「あれ?こっちのバージョンで別によかったんじゃね?ていうか、ジョスウェドン版とは何だったのか」という結論に。うっそー!?とお思いでしょう。これから説明するから。

本カットのいいポイントは、チームアップする各ヒーローのほりさげがしっかりできていること。これだけ長いんだから当たり前とおっしゃるかもしれないが、それで飽きさせないからいいんです。びっくりなのは、ワンダーウーマンにしても冒頭から見たことないバトルの(いい)見せ所がちゃんと来て、「あれ、こんなのも撮ってたの?」の連続。特にウェドン版では影が薄くなりがちだった、フラッシュ、サイボーグの新キャラもしっかり描いている。これは高得点。というか、映画全体を通して、ジョスウェドン版とのシーンの重複がほぼないように感じられる(もちろんちょっとはあるのだが)

あと、ザックの映画では画面もムードも暗くなりがちだが、今回に限っては、それがプラスに。ウェドン版はどうしてもMCUに寄せてる感が否めないのに対し、こちらは思いムードが伝説、神話寄りのDCっぽさを出していて、良かったと思う。

さて、ここまで成功したとなると、こっちの方の続きをぜひ見たいと思う訳ですが、どうなんでしょうね?

2020年に観た映画

去年はコロナで多くの映画が公開延期になり、鑑賞の機会もだいぶ減ってしまったのでどうしようか迷ったが、観た中でも総括してみようかと思う。

  1. パラサイト 半地下の家族
    やっぱこれよね。アカデミー賞での衝撃も後押ししたが、とにかくめっっちゃ面白かった。途中でテイストが変わることに戸惑う人もいたが、私は肯定派。
  2. 続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画
    これもショッキングという意味では1に劣らない。なによりリアルにもすごい影響を与えている、これだけタイムリーな映画があるか。日本ではできないだろうという意味をこめて2位。
  3. ミッドサマー
    もう二度と観たくない、と強烈に思わせるその強烈さでランクイン。これのせいで、昔はダメだと思った「ヘレディタリー 継承」を再鑑賞して再評価したりした。
  4. ストーリーオブマイライフ〜私の若草物語
    タイトルで損してる話。メタフィクション。
  5. ブックスマート
    これはよかった。特にビーニーがよかった。
  6. ハスラーズ
    これはJ.LOの映画。ポールダンスも実は最初全然できてなかったと知ってびっくり。
  7. TENET
    文句もいろいろ言いたいが、絵としては魅せてくれるさすがノーラン
  8. 1917~命をかけた伝令
    これも賛否両論だがやはり絵の力。
  9. はりぼて
    日本で最もボラットに近付けるとしたらこの辺?「さよならテレビ」や、「なぜ君は総理大臣になれないのか」など、ドキュメンタリー(タッチ)の映画が今年は豊作だったね。
  10. フォード VS, フェラーリ
    なんかほぼ1年前で記憶が薄れかけているが、きっとよかったんだ。うん。

主演男優賞:サシャ・バロン・コーエン(続ボラット)
主演女優賞:フローレンス・ピュー(ミッドサマー)
助演男優賞:アダム・ドライヴァー(テリーギリアムのドンキホーテ)
助演女優賞:ジェニファー・ロペス(ハスラーズ)

監督賞:ポン・ジュノ
撮影賞:ロジャー・ディーキンス
脚本賞:グレタ・ガーウィグ
音響賞:ドナルド・シルヴェスター

特別賞:テリー・ギリアム

チャーリーズ・エンジェル(2019)

初代チャーリーズ・エンジェルは見てない世代で、2000年の映画はフルスロットルも含め鑑賞済み。本作公開時(日本だと2000年)は、「さすがにもういいだろ」。この題材で、いくら新しいキャラでリブートしたところで、そんなに目新しいポイントが見られるとは思わなかった。ので、スルー。が、最近ふと見る機会があり、大いに前言撤回したい。

まず、その「キャラ」だ。言うても前回は、特に3人の中に推しキャラはいなかった。まあドリューとかはがんばってほしいとは思ったがそれとこれとは別。今回は…いる!それは…前回はなかったアフリカン枠の、ジェーン(エラ・バリンスカ)ちゃん!ちょっとかわいすぎませんかこのこ!この辺の写真とか見てみてください。外見だけで盛り上がってしまいますが、このジェーンちゃんを含め、キャラクター配役的には大きく成功していると言えます。まず、最初に登場するサビーナ(クリステン・スチュワート)。いかにもなステレオタイプ的長髪ブロンドで登場しておいて、途中で実はウィッグで、脱いだらバリバリ短髪でした。性格も含めめっちゃ武闘派という、今までとは違うことをしっかりアピール。3人目のエレーナ(ナオミ・スコット)あれ、実はこの人見たことあるような!?過去の出演作を見るとパワーレンジャーってあるけど、ここで見たのかなあ?それはともかく、新人らしいおとぼけ演技でいい味出してます。ちなみに新人役だけどこの人が一番年上(じゃなく、クリステンが一番上だった。にしても意外と年上)。

まあこのチャーリーズ・エンジェルという題材自体がですね。女性自立のアイコンの意味合いが元々強い訳ですから、今さらではあるんですが、この映画が登場したのはトランプ政権や#MeeToo運動を背景にして「ワンダーウーマン」やアトミックブロンドあたりから、「スキャンダル」そして日本ではほぼ同時公開の「ハスラーズ」に至る一連の流れからすると、出てくるのはほぼ必然であったと言えましょう。2000年との大きな違いは、「チャーリーズ」と言ってはいるもののボスのチャーリーは不在で、その代わににボスになるのが本作監督でもある女性のエリザベス・バンクスであるところ。この改変は小さいようでいて大きいですよ。それと、男で言うところのブロマンスが強調されているところ。この辺はハスラーズとも共通してますね。実はクリステン・スチュワートはバイらしいのでその辺を踏まえて鑑賞すると深く感じるものがあるかも?

ノマドランド

アカデミー賞シーズンということで、色々見ようと思ったが、忙しいやら映画館空いてないわで、ようやっとこれだけ鑑賞できた。いやー、美しい絵だね。そして主演のフランシス・マクドーマンドの演技がすばらしい。これ観ちゃうと、この前の「スリービルボード」って何だったのかと思ってしまうくらい。そして「ファーゴ」を観たくなる。

この作品は原作にはあった、アマゾンの労働の過酷さなどが描写されていない(もちろんアマゾンの許可を得て撮影してることもあるが)という批判もあるが、監督の主眼はやはりそこではなかった。だから私はそれほど気にしない。そこを主張したい映画を作りたいなら他の人がやればいいよ。

逸材

「お前を超える逸材がここにいるのだ…それも…二人も同時にだ(安西監督)」

と言いたい気分ですよね。フロンターレの、一人は言うまでもなく三笘薫。彼のプレーは毎試合、何か驚きを与えてくれる。絶対スタジアムで見るべき。そしてもう一人は、同じユース出身の田中碧。碧は、数字にこそあまり出ていないものの、去年とは明らかに違いの分かる成長ぶり。ダイナモっぷりは去年からだが、それに加え、サイドへの展開、そこからの正確な高速クロス。的確なポジショニングとシュート(入らないけど)。同時期にこんな二人ガ同じチームにいるなんてなんという僥倖だろうか。更に、ノボリがケガしたおかげで?左SBというか、「ポジション:旗手」というポジションを手に入れた、改革者旗手怜央。そりゃあ開幕5連勝するでしょうよ。もちろんこの先が順風満帆な訳では決してない。直近の柏戦はどちらかというと相手ペース、苦しんでウノゼロ。が、それでも勝っていることで、無根拠な自信も湧いてこようというもの。しかし夏に二人とも海外に行ってしまうかもしれず、そうなると痛いなあ。

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

TVシリーズを(半ば強制的に)見させられてからはや何年?旧劇場版を見、新劇にもつきあい、そして今回。リピートマークが付いているとはいえ、これで一区切りなんでしょ?そうなんでしょ。そんなに大好きというほどでもなかったけど、ここまでつきあうとアヴェンジャーズ・エンドゲームのような感慨ひとしお。しかも、今回ちゃんと、総括的な内容になりつつ、少しメタに進みつつ、筋も(比較的)明快!展開も最初にアクションでひきつけといて、主人公がいったんドン底に落ち、そこからはいあがってくるというシナリオ骨法の基本をおさえている!宮崎監督に批判された、「消費ばかりで生産が描かれていない」点もしっかりクリア!更に、下からのアオリ視点でサービスサービス!それでいて、本質である私小説的テーマはしっかり描いた!庵野監督はこうして這いあがったのかと納得!更に総括的なメタな内容もチョコチョコ入れてきてこれもサービス!「さようならすべてのエヴァンゲリオン」というダブルミーニングが効いてること!アダムも!でかレイも!Airの最後の浜辺も!(しかし「気持ち悪い」とは言わない!)

最終回にして最高の内容をありがとうという感じです。ちょっとネタバレしてかかもですが気持ちがハイになってるのでごめんなさい。

フロンターレ2021:はじまり

コロナが明けないので、あいかわrたず映画はお休み。フロンターレの話でもしようか。

J1がはじまり、フロンターレはホームの連戦を2連勝。初戦は横浜FMに2-0、2節はC大阪に3-2。初戦もスコアこそ2-0だが、後半システムを変えた横浜にペースを握られ、苦しい展開。2節にいたっては、大久保嘉人に恩返し弾をご丁寧に2発もくらうというありさま。この内容だと、昨年後半で苦しんだのと何も変わらないのか?三笘も攻撃に比べるとディフェンスはいまいちだし。嘉人の1点目の寄せが甘いとか、時々パスミスするとか、普通にボール奪われるとか。

確かにシステムも変わらず。守田→シミッチの他、何人かメンバーの入れ替わりがあったぐらいで、ベースは昨年からそれほど変わらない。その上、明らかに相手チームの対策は進んでる。

が、それでも、進化の兆候は見られるのだ。それは細かい部分だが確実に。

まず、横浜戦の1点めの家長への田中碧のクロス、それからC大阪戦の山根からダミアンへのクロス。フロンターレのクロスといえば伝統的に、残念クロスというイメージだったが、昨年末のノボリーダミアンといい、今年はなんか違う。それだけでなく、挙げたゴールがどれも崩しきった美しい形。なんとなくとれた、ではないのだ。そこに、質の差がでているのではないか。

そんで、やっぱ三笘ですよ。ゼロックススーパーカップの時のゴールは「なんとなく」かもしれなかった。が、この日の三笘は違った。マークされても、その裏をかくプレーが頻出。それがC大阪戦の逆転ゴールのトラップにもあらわれていたし、その後のVAR(今年から導入)でオフサイドで幻となったゴールまでの一連のプレーも凄かった。私はあれで一気にもっていかれたよ。ほんとゴールだったら伝説ものだったよ。

まあ、三笘くんは夏には海外に行ってるかもしれないので、その分はさっぴかないといけないかもしれない。そうすると勝ちきれたゲームでも引き分け止まり、といった試合が増えるかもしれない。それでも、今年のフロンターレはなんか、ビハインドになっても安心して見ていられる不思議さがある。

アンナチュラル

伊集院光さんが、「今さらあまちゃん鑑賞」してるのに触発された訳でもないですが、その伊集院さんが以前ラジオではまっていた本作がこの年末年始で全話放送されていたので、録画してイッキ見した。結果、大正解。めっちゃ語りたいんですが、伊集院さんみたくウラシマ状態な訳です。仕方がないので、ここに書いていく訳ですが。

まずこれ、設定の勝利。ありきたりの刑事でもなく、科捜研でもなく、主人公まさかの法医学者。この視点が新しくてよかった。法医学者が犯罪捜査に積極的に関与するなんてあんまりないじゃないですか。それを、UBIという架空の組織を設定することでうまく解決。

あとは配役ですね。石原さとみ・市川実日子のコンビだとどうしても「シン・ゴジラ(2016年)」を連想してしまいますが、こっちのドラマの方が後(2018年)に作られているので、市川さんのキャスティングはこれ影響あったな、と邪推するものです。みんな大好き尾頭さんとはまた違う演技ですが、当たりです。

しかしなんといっても白眉は、私の一推し俳優、窪田くんでしょう。これは異論を待たないと思います。てか、一推しなのに見てなかったんかいと言われそうですが。この私が認めますが、窪田くん史上でも最高です。というかなんで自分以外の人でこんな窪田ファンいるのか理解できなかったけど、これのせいだ絶対。間違いない。窪田くんはコメディもこなすけど、本作の繊細なキャラの演技がすごくはまってます。だから自分はずっと六郎に感情移入していて、そのせいで最終回は予想された展開にも関わらず号泣。でもこの回の市川さんの演技もいいですよ。

前者の2人に比べると、石原さとみさんの演じる主人公はまったくキャラが立っていない。これは石原さんのせいではなく、逆に普通の人が入りこみやすくするための演出だと思いますが、シン・ゴジラのうさんくさい英語なまりの日本語を話すキャラとは対照的で面白いですね。

で、主題歌がlemonだったのね。このドラマにこの主題歌。最強でしょう。米津玄師のことは別に好きでも嫌いでもなかったけど、これで一気にはまり。まあ、そんなもんだよね。